2011 Fiscal Year Annual Research Report
G2期におけるauroraBによるヒストンリン酸化の意義
Publicly Offered Research
Project Area | Cell Proliferation Control |
Project/Area Number |
22019023
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 宏 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (30241392)
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Keywords | 染色体 / ヒストン / リン酸化 / 細胞周期 / 細胞分裂 / 抗体 / クロマチン / 脱リン酸化 |
Research Abstract |
ピストンH3は染色体の主要な構成成分であり、その10番目と28番目のSer残基は、細胞周期のM期にaurora B複合体により高度にリン酸化を受ける。aurora Bの発現はS期に上昇するが、ヒストンH3のリン酸化状態は、PP1を主とした蛋白質脱リン酸化酵素とaurora Bとのバランスにより調節されている。これまでに、間期におけるH3のリン酸化が染色体の正常な分配に寄与することを示唆する結果が得られている。本研究は、ヒストンH3のリン酸化の染色体分配の制御における意義について明らかにすることを目標として行った。今年度は、HeLa細胞の細胞質にピストンH3のリン酸化抗体を導入し、染色体分配に与える影響を検討した。細胞質への導入では、抗体は核膜崩壊後に初めて染色体と結合できるため、細胞周期のM期前中期以降のリン酸化の機能を阻害できると考えられる。H3S1OおよびH3S28のリン酸化抗体は、それぞれ染色体分配の遅延と異常を引き起こした。また、昨年度の研究でH3S10がリン酸化された染色体にトポイソメラーゼが濃縮されることが明らかになったが、トポイソメラーゼIIの機能阻害も同様な表現系を示した。したがって、ピストンH3のリン酸化は、トポイソメラーゼIIと直接あるいは間接的に相互作用し、キネトコアの機能または染色体接着制御機構に関与すると考えられた。また今後、間期細胞核への抗体のインジェクションにより、核膜崩壊前の染色体凝縮へのリン酸化の関与を検討する予定である。
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