2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規試験管内モデル系を用いた姉妹染色体接着反応の分子機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Cell Proliferation Control |
Project/Area Number |
22019024
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 達郎 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (50452420)
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Keywords | 染色体接着 / 染色体分配 / 細胞周期 / ツメガエル卵無細胞系 / コヒーシン / DNA複製 |
Research Abstract |
コヒーシンによる姉妹染色体の接着は、分裂期に姉妹染色体を同定して娘細胞に正確に分配するために必須である。コヒーシンはScc2-Scc4複合体により染色体上にロードされる。染色体の接着はDNA複製と協調して成立し、この過程にはコヒーシンアセチル基転移酵素(CoAT)が必要である。しかし、Scc2-Scc4がどのように制御され、どのような分子機構でコヒーシンを染色体に結合させるかは全く分かっていない。加えて、CoATの機能がどのような機構を介してDNA複製と協調するのかもよく分かっていない。そこで本研究では、ツメガエル卵抽出液を利用した試験管内モデル系を構築し、コヒーシンの染色体結合の分子機構と、CoATによる接着成立反応の分子機構の解析を行った。 ツメガエルScc2-Scc4の染色体結合には、Scc2のN末端110アミノ酸とScc4からなる複合体で十分であり、Scc2のC末端領域は染色体への結合に不要であった。Scc2(1-110)-Scc4複合体を大腸菌から精製したところ、Scc2とScc4の分子比が1:1の複合体を構成していた。現在、この複合体の生化学的解析を進めている。ツメガエルではCoATとしてこれまでにEco1、Eco2の二つのタンパク質が同定されている。本研究ではこれらの機能分担を解析し、ツメガエル卵ではEco2が主として機能することを見いだした。また興味深いことに、Eco2の染色体結合はDNA複製開始反応の初期過程に依存しており、この結合にはEco2のN末端領域が必要であった。これらの結果は、Eco2がN末端領域を介してDNA複製の開始段階で染色体に結合し、DNA複製と協調してコヒーシンのアセチル化を行うことを示唆している。
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