2010 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ卵細胞における減数分裂制御シグナルの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Cell Proliferation Control |
Project/Area Number |
22019029
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
相垣 敏郎 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 教授 (80150879)
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Keywords | 卵細胞 / 減数分裂 / ショウジョウバエ / カルシニューリン / 生物発光 |
Research Abstract |
多くの動物で、成熟した卵細胞の細胞周期は、減数分裂の途中で休止しており、受精によって再開する。このときCa2+濃度が上昇し、減数分裂の再開を含む卵の活性化がおこる。ショウジョウバエでは、減数分裂再開のシグナルは受精ではなく、排卵の際に輸卵管から受ける機械的刺激がトリガーになっていると考えられているが、その実態は不明である。申請者らは、遺伝学的アプローチによって、Ca2+/カルモジュリン依存性フォスファターゼであるカルシニューリンの制御因子DSCR1/RCAN/Sraが減数分裂の再開に関わっていることを明らかにした。しかし、卵細胞におけるCa2+濃度の上昇に関する直接的証拠はなく、またカルシニューリンシグナルが直接関与することを示した証拠は得られていない。そこで本研究では、生物発光タンパク質Aequorin-GFPを卵細胞特異的に発現するトランスジェニック系統を作製し、減数分裂再開を含む卵活性化に伴うCa2+ダイナミクスを解析した。ショウジョウバエの卵は、雌の卵巣から取り出して培養液中で培養したあと、浸透圧を一時的に低下させることにより、人工的に減数分裂の再開を誘導した(活性化処理)。発光基質となるセレンテラジンを培地中に添加し卵内に取り込ませた。ルミノメーターを用いて発光シグナルを連続的に計測したところ、活性化処理後数分で発光シグナルが顕著に上昇することが判明した。また、カルシニューリンの制御サブユニットの一つCanB2遺伝子について、生殖細胞系列特異的変異体を作製した。その結果、Sra変異体と同様に減数分裂が再開直後に停止するという表現型が認められた。このことは、カルシニューリンの機能が減数分裂の完了に不可欠であることを証明するものである。
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Research Products
(3 results)