2010 Fiscal Year Annual Research Report
コンデンシン結合による細胞周期特異的染色体構造の変化
Publicly Offered Research
Project Area | Cell Proliferation Control |
Project/Area Number |
22019041
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
定塚 勝樹 基礎生物学研究所, ゲノム動態研究部門, 助教 (40291893)
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Keywords | 分子生物学 / 遺伝学 / 酵母 / ゲノム動態 / 染色体 / 細胞周期 / クロマチン / 細胞分裂 |
Research Abstract |
細胞分裂期になると、遺伝情報を記録した細いクロマチンDNA鎖は、太くて短い棒状の分裂期染色体へとその形態を大きく変化させる。このダイナミックな形態変化は染色体凝縮として知られており、そこで直接DNAに作用して中心的な役割を果たすと考えられているのが、コンデンシンと呼ばれる蛋白質複合体で、真核細胞で広く保存されている。これまでに出芽酵母を用いて、コンデンシンが結合する配列(RFB)をリボソームRNA遺伝子(rDNA)繰り返し領域内に見出し、またその結合のメカニズムを明らかとしている。 今年度、rDNA領域のRFBに結合したコンデンシンが、如何にしてクロマチンDNAの凝縮に働くのかを調べた。方法は、染色体上の離れた部位間の物理的相互作用を検出できる、Chromosome Conformation Capture(3C)法により解析した。その結果、微小間重合阻害剤(ノコダゾール)で分裂期(metapahase)に停止した細胞で、rDNA領域内に約9kb間隔で並ぶRFB配列同士が、物理的に相互作用している事が検出された。コンデンシンを構成する遺伝子に欠損がある場合、またRFBへのコンデンシン結合に必要な因子(Fob1,Csm1等)に欠損がある細胞では、RFB間の相互作用が野生型のそれに比較して減少することが観られた。このことから、コンデンシンがRFBに結合する事によって、RFB間の相互作用が生じていることがわかった。 この結果から、コンデンシンがクロマチンに結合すると、その結合配列間での相互作用が生じ、結果としてそれらの間のクロマチンが折りたたまれる。これが染色体凝縮の素反応の1つではないかと考えられた。
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