2010 Fiscal Year Annual Research Report
試験管内アッセイ系による小胞体膜タンパク質の逆行輸送メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Protein community: organization and maintenance of protein functions |
Project/Area Number |
22020017
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中務 邦雄 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (90547522)
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Keywords | 小胞体 / タンパク質分解 / 膜タンパク質 |
Research Abstract |
小胞体における異常タンパク質分解系(ERAD)の素過程の解析を目的として、in vitroおよびin vivoの両面から解析を進めている。小胞体内腔の可溶性基質は、サイトゾルヘ逆行輸送されてユビキチンプロテアソーム系によって分解される。可溶性基質が小胞体膜をどのように透過して、サイトゾルヘ逆行輸送されるのか、その詳細なメカニズムは依然として不明である。しかしながら、膜を透過するという概念は、今のところ広く受け入れられている。一方、膜貫通タンパク質は最初からサイトゾルヘ露出した領域があり、その領域を標的としたユビキチン修飾および分解も、モデルとしては有り得た。我々は本年度の研究の前にin vitro解析系によって、膜貫通タンパク質もユビキチン化後にサイトゾルヘ逆行輸送されるという有力な証拠を得ていた。本年度は、このモデルを検証すべく、新しいin vitro解析系の構築を試みた。in vitroで合成した膜貫通型基質をミクロソーム画分に取り込ませ、ユビキチン化反応に必要な因子を添加し、逆行輸送を観察した。しかしながら、取り込み反応はある程度進んだものの、ユビキチン化を有意に検出することは困難であった。in vitro解析系で最も困難なのは、高い効率で反応を再現することである。すなわち、系にインプットされた基質が、複数の反応を経て最終産物となり、それを検出するとき、反応のステップ数が多いと必然、アウトプット(最終産物)の検出が困難となる。次年度は、取り込み反応を省略して、あらかじめE3リガーゼと複合体を形成していることが知られているタンパク質を基質として用いて、ユビキチン化反応の観察から始められる系を構築しつつある。基質-E3リガーゼ複合体の精製は行い、現在プロテオリポソームに組み込む条件を検討している。
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