2011 Fiscal Year Annual Research Report
マイトファジーによる品質不良ミトコンドリアの選別、分解機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Protein community: organization and maintenance of protein functions |
Project/Area Number |
22020028
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神吉 智丈 九州大学, 病院, 助教 (50398088)
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Keywords | ミトコンドリア / オートファジー |
Research Abstract |
ミトコンドリアは小さいながらもDNAを持ち、核からの援助を受けながら独立してタンパク質社会を形成している。ミトコンドリアは、ATP産生時に活性酸素を産生し、そのため自身のDNAやタンパク質に酸化傷害が蓄積しやすい。余剰に存在する、もしくは傷害を受けたミトコンドリアは活性酸素の源となるため早急に除去する必要があり、ミトコンドリアオートファジー(マイトファジー)がこれらのミトコンドリアを分解していると考えられているが、その分解機構には不明な点が多い。本研究では、マイトファジーに必須のミトコンドリア外膜タンパク質Atg32のマイトファジー誘導後の修飾を詳細に解析し、マイトファジー誘導によってミトコンドリアが分解される時に、Atg32の114番目と119番目のセリン残基がリン酸化されていること、さらに114番目のセリン残基のリン酸化がAtg32とAtg11との結合およびマイトファジーに必須であることを明らかにした。また、Atg32のリン酸化に関わる因子として、MAPキナーゼであるHog1が関与していることを解明した。さらに、出芽酵母におけるマイトファジーの生理的意義の研究を行い、細胞が栄養飢餓に直面した場合に、マイトファジーがミトコンドリアを分解することで、ミトコンドリアから不必要に放出される活性酸素を抑制し、その結果、ミトコンドリア自身のタンパク質やDNAの酸化傷害が防がれていることを解明した。こうした理由によりマイトファジー不能株では、栄養飢餓に時に活性酸素にさらされた結果、ミトコンドリアDNAに欠失型の変異が蓄積していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的であるマイトファジー誘導に関わるシグナル経路の一つとしてHog1-Pbs2の経路が解明できた。また、こうしたシグナルが辿り着く先がAtg32のリン酸化であることを解明できている。さらに、リン酸化部位の同定、マイトファジーにおけるAtg32のリン酸化の重要性に至るまで解明できている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究期間中にマイトファジー誘導時におこるAtg32のリン酸化の重要性が証明できた。今度は、Atg32を直接リン酸化するキナーゼを同定し、より詳細なマイトファジー誘導に関わるシグナル経路の解明を行う。 また、マイトファジーに関わるもう一つのミトコンドリア外膜タンパク質Atg33と今回同定したマイトファジーのシグナル経路との関係が不明瞭である。今後は、Atg33との関わりを中心に研究を進めていく。
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Research Products
(7 results)