2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規ユビキチンリガーゼによる小胞体のタンパク質分解機構
Publicly Offered Research
Project Area | Protein community: organization and maintenance of protein functions |
Project/Area Number |
22020032
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
金子 雅幸 千葉科学大学, 薬学部, 講師 (10322827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 靖幸 横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (00034041)
大熊 康修 千葉科学大学, 薬学部, 教授 (20127939)
友部 浩二 横浜薬科大学, 薬学部, 講師 (80460286)
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Keywords | ユビキチンリガーゼ / ERAD / 小胞体ストレス / アルツハイマー病 / バイオインフォマティクス / 神経細胞 / APP / Dorfin |
Research Abstract |
私たちはこれまで、アルツハイマー病発症に関わるAβの前駆体タンパク質APPがERADに関与するユビキチンリガーゼHRD1の基質となることを明らかにした。また、ERADに関与すると予測される新規のユビキチンリガーゼをバイオインフォマティクス的手法で51種同定し、8種の遺伝子をクローニングした。今回私たちは、その中からAPPのユビキチン化と分解に関与するユビキチンリガーゼとしてRNF19B (FLJ90005)を見出した。興味深いことに、RNF19の発現抑制はAPPの蓄積が認められるものの、HRD1とは逆にAβの産生量が低下することから、HRD1と異なる機構でAPPの代謝に関与する可能性が示唆された。また、RNF19Bと相同性が高いユビキチンリガーゼにDorfin (RNF19A)があるが、DorfinもRNF19Bと同様の結果となったことから、同じ機構でAPPの代謝に関与していると考えられる。この結果より、RNF19BやDorfinの阻害薬は、Aβ産生抑制薬として、新しい作用機序に基づくアルツハイマー病治療薬となる可能性が期待される。今後は、それらのユビキチンリガーゼの基質を同定し、APPの代謝機構について明らかにしたい。 また、新規ユビキチンリガーゼについてその脳内局在を検討したところ、そのほとんどが神経細胞に発現しており、グリア細胞には発現していないことが明らかとなった。この結果から、ERADが神経細胞の機能に重要であることが示唆される。さらに、新規ユビキチンリガーゼについて小胞体ストレス抑制作用を検討したところ、RNF185 (FLJ38628)、RNFT1 (LOC51136)、RNF145 (FLJ31951)が小胞体ストレスによる神経細胞死を抑制することが明らかとなった。この結果から、これらのユビキチンリガーゼはERADに関与し、HRD1と同様に小胞体に蓄積した変性タンパク質を分解除去できることが示された。
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Research Products
(17 results)