2010 Fiscal Year Annual Research Report
mRNA品質管理と小胞体品質管理を結ぶインターフェイスの解明と臨床応用への新提案
Publicly Offered Research
Project Area | Protein community: organization and maintenance of protein functions |
Project/Area Number |
22020033
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
榊 建二郎 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70509968)
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Keywords | 小胞体 / 小胞体ストレス / 品質管理機構 |
Research Abstract |
小胞体は真核生物における分泌蛋白質や分泌経路に介在する蛋白質(分泌系蛋白質)の生合成及び高次構造形成の場である。小胞体品質管理においては、適格な構造形成を成し得た蛋白質のみを選別する一方で、構造異常蛋白質は小胆体関連蛋白質分解,(ERAD)により分解される。更に、環境的・遺伝的要因による構造異常蛋白質の過剰発生(小胞体ストレス)に対しては、小胞体ストレス応答(UPR)を活性化してERADの効率化と蛋白質フォールディングの精度を上げることで、小胞体機能の恒常性維持を司る。小胞体品質管理機構については、分泌系組織の発生過程や糖尿病等の疾患における発症機構における重要性が明らかにされており、その全容解明が期待されている。我々はこれまでの研究から、mRNA品質管理機構のひとつであるnonsense-mediated RNA decay (NMD)の破綻が小胞体ストレス応答を誘発することを明らかにしており、小胞体品質管理においてNMDが重要な役割を果たすものと考え、その分子機構の解明に取り組んでいる。特にNMD阻害剤は筋ジストロフィの特効薬として期待されており、より理想的な臨床応用へ向けて、小胞体ストレスの誘発を緩和する方法を検討したい。平成22年度は、線虫を用いた遺伝学的解析から、NMD不全誘発型小胞体ストレスに対する抑制変異体を得ており、サプレッサー遺伝子の同定を行っている。また細胞生物学的解析から、一部のNMD関連遺伝子の過剰発現が細胞の小胞体ストレスに対する耐性を高めることが示された。今後、NMDによるmRNA品質管理機構が、どのようにして小胞体品質管理機構の制御に寄与するかについて、同定されるサプレッサー遺伝子の位置付けを含めて解析を行いたい。
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