2010 Fiscal Year Annual Research Report
翻訳途上鎖のタンパク質社会における意義と役割
Publicly Offered Research
Project Area | Protein community: organization and maintenance of protein functions |
Project/Area Number |
22020035
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
伊藤 維昭 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (90027334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 志信 京都産業大学, 総合生命科学部, 助教 (20523517)
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Keywords | リボソーム / 翻訳制御 / 蛋白質 / 合成途上鎖 / SecM / MifM / ポリペプチジル-tRNA / 翻訳アレスト |
Research Abstract |
翻訳アレスト配列の特異性とアレスト解除機構との関係についての解析が進んだ。MifMによる翻訳アレストの分子機構を解析するため、精製された大腸菌由来の翻訳因子と大腸菌本来のリボソーム、あるいは枯草菌から精製したリボソームを組み合わせてin vitro翻訳系再構成した。この翻訳系を用いた解析により、MifMの翻訳アレスト配列は枯草菌のリボソームに作用して飜訳伸長を停止させるが、大腸菌のリボソームには作用できないことを示した。MifMのC末端にある翻訳アレストモチーフはN末端の膜挿入・組込み配列によって制御されている。この性質によりMifMは、細胞のタンパク質膜挿入装置YidCの活性をモニターして、翻訳アレストを制御することにより、膜挿入装置の一つであるYidC2の翻訳を調節している。この膜挿入組込み配列を分泌タンパク質由来のタンパク質膜透過・分泌シグナル配列によって置き換え、細胞内で発現させた。そして、このようなMifMタンパク質の改変により、その機能をタンパク質膜挿入モニターからタンパク質分泌モニターへと変換させることに成功した。このことは、C末端の翻訳アレストモチーフが部品性を有する独立のアレストモジュールとして機能することを示しており、種特異的な特有の方式でリボソームに働きかけるアレスト配列も、多様なN末端のセンサーモチーフによる制御を受け得ることがわかった。この部品性は、翻訳アレストを利用した多用なセンサーが進化したメカニズムの一つと考えられる。また、センサー部位による翻訳アレストの解除の機構として、物理的力の関与説を支持する結果でもある。
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