2010 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖が関わる小胞体関連分解の構造生物学的研究
Publicly Offered Research
Project Area | Protein community: organization and maintenance of protein functions |
Project/Area Number |
22020037
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
佐藤 匡史 独立行政法人理化学研究所, 糖鎖構造生物学研究チーム, 基幹研究所研究員 (80532100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 芳樹 独立行政法人理化学研究所, 糖鎖構造生物学研究チーム, チームリーダー (90323451)
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Keywords | レクチン / 糖鎖 / 小胞体関連分解 / X線結晶構造解析 / NMR / 構造生物学 |
Research Abstract |
小胞体関連分解は、マンノシダーゼ様タンパク質(EDEM)とレクチン(OS-9およびXTP3-B)などを介して、タンパク質に結合するN型糖鎖のマンノース残基の数により制御されている。フォールディングに失敗した異常糖タンパク質は、EDEMにより5~7糖のマンノースを含む糖鎖までトリミングされた後、MRH(マンノース6リン酸受容体相同)ドメインを持つOS-9により認識され、細胞質へ逆行輸送され、最終的に分解される。 今年度は、OS-9のMRHドメインの糖鎖複合体の結晶構造解析に成功した。解析の結果、OS-9のMRHドメインは、扁平なβバレル構造を形成しており、マンノース6リン酸受容体とは異なるジスルフィド結合様式とβシート構造を持つユニークな立体構造をしていることが分かった。また、興味深いことに、MRHドメインの糖鎖結合部位は、マンノース6リン酸受容体と同様のアミノ酸残基に加え、特徴的な連続する2つのトリプトファン残基から構成されていた。我々は、この糖鎖結合部位を"WWモチーフ"と名付けた。結晶構造データと溶液中でのNMR解析およびWWモチーフの変異体を用いた結合実験などを合わせて、OS-9のMRHドメインはWWモチーフを介して、高マンノース型糖鎖のα1,6結合からなるマンノース3糖と特異的に結合することを解明した。この研究により、マンノース残基がトリミングされた異常型の高マンノース型糖鎖をOS-9が特異的に認識する仕組みが明らかになった。 また、糖鎖構造生物学研究の技術開発を目的として、新しい組換えタンパク質発現法を確立した。具体的には、チモーゲン顆粒の形成に関わるZG16タンパク質をモデルケースとして、その大量発現に成功し、結晶構造を明らかにした。また、希少糖鎖であるガングリオシドAG2を化学合成し、シグレック2との原子レベルでの相互作用様式をSTD-NMR法により明らかにした。
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Research Products
(21 results)