2010 Fiscal Year Annual Research Report
血液線維素溶解系による免疫制御機構の解明とその臨床応用
Publicly Offered Research
Project Area | Immunological Self Recognition and its Disorders |
Project/Area Number |
22021013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
服部 浩一 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (10360116)
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Keywords | 血液線維素溶解系 / マトリックスメタロプロテイナーゼ / フィブリノーゲン / 炎症性細胞 / GVHD / TNF-α / プラスミン / 血液凝固系 |
Research Abstract |
本研究は、移植患者のquality of lifeと生命予後に重大な影響を与える免疫関連難病である移植片対宿主病(GVHD)の病態発症機構の解明を通じ、血液線維素溶解系(線溶系)を起点とした獲得免疫系の新たな制御機構の解明を主な目的とし、線溶系を新たな標的として、炎症性サイトカインの細胞外ドメイン分泌を制御するマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)の活性制御を意図したGVHDに対する新規分子療法、免疫システム制御の新戦略の開発までをその範疇とする。今年度の研究で、研究代表者らは、急性GVHD患者の血液中において、発症初期に、血液凝固・線溶系の亢進が認められ、これに伴って、GVHDの病態形成に関与する各種炎症性サイトカインの細胞外ドメイン分泌を制御するマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)の活性化とTNF-αやインターロイキン受容体等の炎症性サイトカインの血中濃度の上昇が誘導されることを明らかにした。さらに代表者らは、F1ハイブリッドのマウスモデルにおける急性GVHDの誘導に成功し、マウス血液中においても同様のMMPの活性化とサイトカイン血中濃度増加が認められること、さらにMMP阻害剤の投与により、GVHDによって形成される各種臓器中の組織病変、脾臓、末梢血中のリンパ球構成、症状・重症度が、有意に改善することを明らかにした。現在、これらのGVHDモデルマウスにおける凝固・線溶系因子群の動態とMMP活性との関連性、またそのGVHD病態における意義等について精査中である。MMP阻害剤は、欧米での臨床治験でその深刻な副作用が明らかとなって以来、臨床応用の道が事実上閉ざされた状況になっており、本研究は、これに代わる新たな分子標的、免疫制御療法開発の基礎研究として重要な役割を担うものである。
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