2010 Fiscal Year Annual Research Report
ニッチによる免疫系自己形成の分子機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Immunological Self Recognition and its Disorders |
Project/Area Number |
22021019
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長澤 丘司 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (80281690)
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Keywords | ケモカイン / 骨髄 / 造血幹細胞 / リンパ球 / ニッチ |
Research Abstract |
成体の骨髄では、自己識別を担うすべての免疫担当細胞が造血幹細胞より産生され,形質細胞や記憶リンパ球が維持される。産生される免疫担当細胞の種類や数やレパトアは、ニッチ(niche)と呼ばれる特別な微小環境により調節されていると推測されてきたが、その実体や機能は長年明らかでなかった。私たちはこれまでにケモカインCXCL12が造血幹細胞、Bリンパ球、形質細胞様樹状細胞(pDC)の産生に必須であることを明らかにし、骨髄でCXCL12を高発現し突起を有する細網細胞(CAR細胞)がニッチ細胞であることを示唆した。本年度は、この独創的な知見を基盤に以下のような成果を得た。 ・自己識別を担う免疫担当細胞の産生・維持におけるCAR細胞の役割の解明。 CXCL12-DTRマウスにおいて、CAR細胞特異的な欠損誘導に成功した。その結果、CAR細胞欠損マウスでBリンパ球前駆細胞が著明に減少し、CAR細胞がBリンパ球産生に必須のニッチであることが明らかになった。この成果は、機能が証明されたBリンパ球造血ニッチの世界初の同定となり、免疫学・血液学における重要な発見である。 ・CXCL12の免疫糸形成における作用とその分子機構の解明。 がんやウイルス感染に対する生体防御に重要なNK細胞の産生にCXCR4が必須であることを明らかにした。また、骨髄より免疫担当細胞前駆細胞分画を分離し、CXCL12がNK細胞系列で作用することを明らかにした。この成果により、NK細胞の産生に必須の3つ目のサイトカインが同定された他、CXCL12は骨髄で産生されるすべての免疫担当細胞の産生に必須である唯一のサイトカインであることが明らかになった。
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