2010 Fiscal Year Annual Research Report
ERMタンパク質によるリンパ球の動態制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Immunological Self Recognition and its Disorders |
Project/Area Number |
22021022
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平田 多佳子 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (00346199)
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Keywords | リンパ球トラフィキング / リンパ節 / 脾臓 / ERMタンパク質 / ケモカイン / 脂質メディエーター / Gタンパク質共役受容体 / ケモタキシス |
Research Abstract |
リンパ球はリンパ節や脾臓などの二次リンパ組織を循環し、そこで抗原情報を受容し免疫応答を開始する。リンパ球のリンパ節を介する移出入のメカニズムの理解に比較して、脾臓を介する移出入については不明な点が多い。私たちは最近、ERMタンパク質ファミリーメンバーのmoesinを欠損するマウスでは末梢のリンパ球が著明に減少するのに対し脾臓は腫大し濾胞リンパ球が増加すること、養子移入したmoesin欠損リンパ球は時間の経過とともに脾臓に貯留することを見いだした。したがって、moesinがリンパ球の末梢での恒常性の維持やリンパ臓器を介するトラフィキングに関与することが示唆される。リンパ球のリンパ臓器を介する移出入は、ケモカインや脂質メディエーターにより制御されることが知られている。そこで、種々のケモカインや脂質メディエーターのなかで、moesin欠損リンパ球において特異的にシグナルが変化するものを、ケモタキシスを指標に探索した。その結果、moesin欠損リンパ球ではCCL21, CXCL12, CXCL13などの恒常的ケモカインに対する反応は野生型と同様であったが、特定の脂質メディエーターに対するケモタキシスが亢進することを見いだした。また、これらのメディエーターの受容体はGタンパク質共役受容体であるが、moesinが受容体の細胞内局在を制御する可能性が示唆された。さらに、moesin欠損リンパ球は末梢での維持に異常があることから、moesinがリンパ球の末梢での恒常性維持に重要な役割を果たすことが示された。
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