2010 Fiscal Year Annual Research Report
MHCとCD1の機能連関による免疫制御の新戦略
Publicly Offered Research
Project Area | Immunological Self Recognition and its Disorders |
Project/Area Number |
22021025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉田 昌彦 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80333532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 樹彦 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (90467431)
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Keywords | 免疫制御 / MHC / CD1 / リポペプチド |
Research Abstract |
サル免疫不全ウイルスNefに由来したリポペプチド分子を特異的に認識するT細胞株を樹立し、その認識の分子機構の詳細な解析を行った。まずリポペプチドの脂肪酸部分のアシル鎖長をC6からC22まで変化させ、抗原活性を検証したところ、C14(ミリスチン酸)をピークとしたベル型の応答が認められた。とくにC6やC18、C22ではほとんど抗原活性を認めなかったことから、極めて厳密な抗原結合・提示機構が存在することが示唆された。次いで、リポペプチドのペプチド部分の個々のアミノ酸残基をアラニンやスレオニンに置換した変異分子を作製し、その抗原活性を検証したところ、変異導入に感受性の高いアミノ酸部分とそうでない部分を同定できた。さらに変異導入に感受性のない変異分子がもとの抗原の提示を阻害するかどうかを検証することにより、抗原提示分子への結合に重要と考えられるアミノ酸を同定した。また、ペプチドのC末端アミノ酸にアミド結合を導入すると抗原活性が失われることから、ペプチド長が厳密に制御されている可能性が示唆された。一方、このリポペプチド認識がT細胞抗原受容体を介したものであるかどうかを検証するため、特異的シグナルの解析、クローニングしたT細胞抗原受容体遺伝子の細胞導入、特異抗体による阻害実験等を行ったが、明確な結論を得るにはいたらなかった。また、MHC分子やCD1分子など既知の分子はリポペプチド抗原提示分子として機能しない結果が得られた。以上の研究から、リポペプチドの抗原認識には、既知のものとは異なる新しい分子機構が存在すると考えられた。
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