2010 Fiscal Year Annual Research Report
制御性サイトカイン産生B細胞におけるカルシウム流入の生理的意義の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Immunological Self Recognition and its Disorders |
Project/Area Number |
22021026
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 義裕 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授 (20415269)
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Keywords | STIM1 / STIM2 / ストア作動性カルシウム流入 / 制御性B細胞 |
Research Abstract |
細胞内カルシウムの上昇が様々な生理的現象に関与することが知られている。B細胞における持続的なカルシウムシグナルは、B細胞機能における重要なイベントとして考えられていたが、その詳細は不明であった。持続的カルシウムシグナルは細胞内カルシウムストアである小胞体からのカルシウム放出が引き金となって引き起こされる細胞外からのカルシウム流入、つまり、ストア作動性カルシウム流入が主要なソースとなるが、小胞体内腔のカルシウム濃度の減少を感知して、細胞膜上のカルシウムチャネルを活性化する分子がSTIM1およびSTIM2である。 当該年度は、STIMIおよびSTIM2のB細胞特異的ノックアウトマウスを用いて、以下のことを明らかにした。1)STIM1,STIM2はB細胞抗原レセプター刺激によるストア作動性カルシウム流入に必須である。2)STIMはin vivo B細胞分化、抗体産生免疫応答に必須でない。3)STIMはB細胞の抗炎症性サイトカインIL-10の産生に必須である。4)STIM1/2ダブルノックアウトマウスはB細胞のIL-10産生不全に起因する実験的自己免疫性脳脊髄炎の重症化がみられる。以上のことから、STIMはB細胞の自己免疫性炎症に対する抑制的機能に必須の分子であることが示唆される。本研究成果が自己免疫疾患の理解、さらには免疫系をコントロールするための新規薬剤の創製にもつながるものと期待して研究を進める。
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