2011 Fiscal Year Annual Research Report
NotchシグナルによるTリンパ球恒常性維持機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Immunological Self Recognition and its Disorders |
Project/Area Number |
22021031
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
前川 洋一 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (10294670)
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Keywords | Notchシグナル / 免疫学的記憶 / メモリーTリンパ球 / Tリンパ球プール / ワクチン |
Research Abstract |
Tリンパ球を始めとする免疫担当細胞は個体の生涯を通してある一定の細胞数が常に維持されている。この制御からの逸脱、すなわち異常な減少・増加は自己免疫疾患・免疫不全などの免疫難病を引き起こす。しかし、Tリンパ球が、自己に対する応答性を回避すると同時に、その細胞数(プール)を制御する詳細な分子機構は明らかになっていない。本研究では、ナイーブおよびメモリーTリンパ球の細胞数を維持する分子機構を解明することを目的とした。 Notchシグナルを欠失させるためにCD4プロモーター依存的にRBP-J遺伝子を欠損させたマウス(RFF4マウス)のTリンパ球動態を解析した。本年度は、濾胞性Tリンパ球の分化や機能発現におけるNotchシグナルの関与に焦点を当て検討を行った。マウスにNP-KLHを免疫し経時的にNP特異的抗体価を測定した。RFF4マウスは野生型マウスと同様にNPに対する抗体を産生し、抗体の親和性も上昇していった。また、濾胞性Tリンパ球の表現系を持つTリンパ球が免疫後に出現した。しかし1次免疫後60日以降、野生型では依然NP特異的抗体価は維持されている一方、RFF4マウスでは低下していった。また、2次免疫後野生型では抗体価の上昇が観察されたのに対し、RFF4マウスでは上昇は認められなかった。以上のことから、Tリンパ球におけるRBP-J依存的Notchシグナルは抗原特異的抗体の維持および2次免疫応答に関与する免疫学的記憶に関与していることが示唆された。
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