2010 Fiscal Year Annual Research Report
ITAM受容体-CARD9経路による自己免疫病の発症・増悪機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Immunological Self Recognition and its Disorders |
Project/Area Number |
22021034
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
原 博満 佐賀大学, 医学部, 准教授 (20392079)
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Keywords | アレルギー・ぜんそく / 免疫学 / シグナル伝達 / 病理学 / ITAM |
Research Abstract |
(1)関節リウマチの発症・増悪における役割の解明:1)CARD9欠損マウスではコラーゲン誘導関節炎が軽減し、これはコラーゲン特異的なTh17細胞が減少していることが原因と考えられた。2)Card9欠損HTLV-Tgマウスを作製し、関節炎の自然発症率をコントロールマウスと比べたが、Card9欠損の影響を認めることができなかった。3)CARD9欠損IL-1Ra欠損マウスは作成段階にある。 (2)EAE発症における役割:CARD9欠損マウスではEAEの発症率および病理スコアが減少し、MOG特異的なTh17細胞分化の減少が見られた。 (3)炎症性腸疾患における役割:CARD9欠損マウスでは粘膜固有層のTh17細胞の減少が見られ、DSS誘導腸炎、T細胞SCID移入腸炎誘導後の粘膜固有層および腸間膜リンパ節におけるTh17細胞の数も顕著に減少することが判った。また、Card9欠損マウスの粘膜固有層から単離した樹状細胞はTh17誘導能が低いことを見いだした。 以上(1)~(3)の検討から、CARD9シグナリングは腸管におけるTh17分化誘導に必要であり、従って炎症性腸疾患の誘導に重要であるのみならず、全身性のTh17が関わる自己免疫疾患の発症にも関与することが明らかとなった。 (4)アレルギー性接触性皮膚炎における役割:CARD9欠損マウスはハプテン誘導性のアレルギー性接触性皮膚炎に耐性であり、これはハプテン刺激によるDAP12を介した樹状細胞(DC)の活性化にCARD9経路が重要であることが原因であると考えられた。CARD9およびDAP12を欠損するDCはOVAなどの蛋白抗原を提示してT細胞を活性化する能力に異常はないため、DAP12-Card9経路はcontact sensitizerの提示およびそれによるDCの成熟に特異的に働いていると考えられた。
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