2010 Fiscal Year Annual Research Report
多能性幹細胞由来の樹状細胞を用いた免疫制御
Publicly Offered Research
Project Area | Immunological Self Recognition and its Disorders |
Project/Area Number |
22021037
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
千住 覚 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (50274709)
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Keywords | 樹状細胞 / 多能性幹細胞 / 自己免疫疾患 / 細胞治療 / 免疫制御分子 / 自己免疫性糖尿病 |
Research Abstract |
生体内各組織に存在する樹状細胞は、抗原特異的なT細胞の反応を制御することを通じて、個体の免疫応答を制御している。我々は、遺伝子改変により特定の抗原をT細胞に対して提示すると同時に種々の免疫制御分子を強制発現させた樹状細胞を作製し、生体に投与することにより、個体の免疫応答を抗原特異的に制御することにより、自己免疫疾患、あるいは、臓器移植におけるアロ免疫反応の問題を解決すべく研究を行なっている。これまでの研究において、マウス、カニクイザル、ヒトの系において、ES細胞あるいはiPS細胞から樹状細胞(ES-DC)への分化誘導法と、これを用いた遺伝子導入法を世界に先駆けて開発し、これによる免疫制御法の研究を進めている。 平成22年度の研究においては、多能性幹細胞由来の樹状細胞による免疫応答の抑制的制御に関する研究を行った。その研究成果として、多能性幹細胞に由来する樹状細胞による免疫応答の抑制的制御において、TRAIL分子を発現する樹状細胞を個体に投与することにより、通常のCD4^+T細胞に対し増殖抑制作用をもたらし、一方で、制御性T細胞に対して増殖促進作用を発揮することを発見した。すなわち、遺伝的改変を行った多能性幹細胞由来の樹状細胞を用いることにより、2つのメカニズムにより異常な免疫応答を抑制できることを示した。この結果は、臓器移植においても、アロ免疫応答を制御し、拒絶反応を軽減する、免疫制御法の開発に応用できるのではないかと期待される研究成果である。さらに、ヒトのiPS細胞から機能的な樹状細胞(iPS-DC)を作成する方法を開発した。
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Research Products
(5 results)