2011 Fiscal Year Annual Research Report
自己類似腸内細菌フローラに対する免疫寛容とその破綻による炎症性腸疾患発症解明
Publicly Offered Research
Project Area | Immunological Self Recognition and its Disorders |
Project/Area Number |
22021038
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金井 隆典 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (40245478)
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Keywords | 腸管免疫 / 腸内細菌 / 炎症性腸疾患 / 免疫学的年齢 / 抹消性トレランス |
Research Abstract |
免疫のひとつである炎症性腸疾患(IBD)が永続的に難治化する要因として、自己類似腸内細菌に反応するIBD免疫病態のプロトタイプを記憶した腸炎惹起性CD4^+メモリーT細胞の永続的潜在性が原因であることを解明してきた。研究期間中(公募;2期4年間)に明らかとした点を概説する。 1.腸炎惹起性CD4^+メモリーT細胞は腸内細菌抗原を認識し、Th1/Th17反応を惹起すると同時に、メモリー化し、生体内に潜在する(Nemoto Y,kanai T et al.J immunol.2009)。 2.腸炎惹起性CD4^+メモリーT細胞の潜在には腸内細菌の存在は必須ではなく、IL-7によって、IL-7が存在する全身臓器により維持されており、IBD治療の根本に抗生剤投与の無効性を指示する証明を行なった(Nemoto Y,kanai T et al.J immunol.2009)。 3.腸炎惹起性CD4^+メモリーT細胞生存には腸管自身が産生するIL-7ではなく、腸管外で産生されるIL-7が必須であることを証明した(Tomita T,kanai T et al.J immunol.2009)。 4.腸炎惹起性CD4^+メモリーT細胞は腸内細菌抗原をT細胞受容体からの刺激以外にT細胞自身が発現するTLR分子を介在し直接、PAMP刺激によって腸炎発症に関与することを証明した(Tomita T,kanai T et al.J immunol.2009)。 5.腸炎惹起性CD4^+メモリーT細胞は恒常的腸内細菌抗原刺激により免疫学的加齢現象が生じ、抑制性T細胞へコンバートする現象を発見した(Totsuka T,kanai T et al.J immunol.2009)。 6.腸炎惹起性CD4^+メモリーT細胞の分化の過程では、Th17→Th1細胞というalternative Th1細胞経路が存在することはin vivoで証明した(Sujino T,kanai T et al.Gastroenterology.2011)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究当初、慢性大腸炎発症における特異的腸内細菌の関与を追求したが、Helicobacter hepatitcus(Hh)という代表的な腸炎惹起性腸内細菌はノトシステムを用いた実験で、単独では腸炎を発症しないことを見出した。このことから腸炎には複合的な腸内細菌の関与が指摘され、感染症のような単独菌説より、dysbiosis説を指示する結果となった。さらに、SPF下で腸炎を惹起させたマウス腸管粘膜より採取した腸炎惹起性T細胞をHhノトマウスに再移入した場合にも腸炎は再現できず、腸炎惹起性T細胞の維持にも複合的な腸内細菌の存在が必要であることを示唆した。本知見は現在論文作製中ではあるが、全体では関連する国際科学雑誌にIM合計80点以上の成果を出すことボでき、(2)と自己点検した。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究をふまえ、腸内細菌とIBD腸炎惹起性T細胞の関連をさらに検討することで、IBD根治を目指したプボバイティクス開発へと進んでいくものと考えている。平成24年度には、萌芽研究、基盤Bに研究代表者として採用され、今後の研究の費用の一部にあてる予定である。特に、これまで本邦では整腸剤として広く用いられている健康細菌製剤のあらたな免疫制御機構を解明する計画である。今後は、ヒト疾患へのトランスレーショナルな側面が多く、倫理的な配慮に十分心がけ研究を継続して行きたい。
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Research Products
(9 results)