2010 Fiscal Year Annual Research Report
レチノイドシグナルによる免疫寛容の誘導と制御のメカニズム
Publicly Offered Research
Project Area | Immunological Self Recognition and its Disorders |
Project/Area Number |
22021044
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
岩田 誠 徳島文理大学, 香川薬学部, 教授 (50160122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宋 時栄 徳島文理大学, 神経科学研究所, 教授 (00399693)
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Keywords | レチノイン酸 / 樹状細胞 / RALDH / 制御性T細胞 / 免疫寛容 / ホーミング / NFAT / RXR |
Research Abstract |
レチノイン酸(RA)産生能を持つ腸の樹状細胞(DC)は、RAによってリンパ球に小腸ホーミング特異性を刷り込み、TGF-β依存性の制御性T細胞分化を促進することから、そのRA産生能力の誘導と制御の機構を理解することは免疫系の確立と自己維持に重要である。我々は、DCにRA合成酵素RALDH2を発現誘導する主要因子としてGM-CSFを、必須補助因子としてRA自体を同定した。そこで、これらの刺激や細胞間相互作用によって生じるシグナルが、RALDH2発現とそれに必要な成熟化を誘導する分子メカニズムを解析するとともに、T細胞機能分化を制御するRAシグナルについても解析した。その結果、RALDH2発現誘導には、初期にタンパク質キナーゼの活性化と新たなタンパク質の生合成が必須であることを見出した。そしてビタミンA欠損マウスでは、経口免疫寛容が成立し難いこと、腸間膜リンパ節のconventional DCが種々の好炎症性T細胞を誘導する高い能力を持つことを見出した。一方、T細胞では、RAによるRA受容体(RAR)刺激に加えてレチノイドX受容体(RXR)からの共刺激が小腸特異的ホーミング受容体CCR9の発現を著しく促進することを見出した。これに基づき、naturally-occurring Tregに、Foxp3発現を維持したまま、小腸ホーミングに必要なα4β7とCCR9の発現を高率に誘導することに成功した。CCR9遺伝子プロモーター上での転写因子NFATc2とRAR/RXRヘテロダイマーの複合体形成がRAによるCCR9発現誘導に必要であることも見出した。さらに、RAがナイーブT細胞の活性化の際に作用してCYP26B1発現を誘導し、CCR9の発現を負に調節していること、そしてCYP26B1の発現はさらにTGF-βやTNF-αによって制御されることを見出した。
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Research Products
(15 results)