2010 Fiscal Year Annual Research Report
正と負の選択におけるシグナル伝達機構の相違の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Immunological Self Recognition and its Disorders |
Project/Area Number |
22021050
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
鈴木 春巳 独立行政法人国立国際医療研究センター, 免疫病理研究部, 部長 (70235985)
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Keywords | 胸腺 / T細胞細胞 / 自己免疫 / 正の選択 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
研究実施計画に則り、以下の実験を行った。(1)変異マウスの解析:Gaspを過剰発現するトランスジェニックマウスの系統を樹立し解析したところ、胸腺における正の選択が亢進していることを見出した。ただし、この増強はCD4系列にしか観察されないことから、Gaspの過剰発現は単純に正の選択そのものを亢進させるのではなく、シグナル伝達疎制御していることが示唆された。(2)シグナル伝達解析:OT-Iシステムを用い、変異ペプチドMHCテトラマーで刺激した際の、DP胸腺細胞のERKの活性化を検討したところ、正の選択を誘導する弱い刺激(Q4H7変異ペプチド)では、GaspKOにおいて初期ERKシグナルが亢進するという予想外の結果を得た。刺激後期にはシグナルは減弱していた。これらの結果より、弱いTCR刺激によるシグナル伝達において、GaspがERK活性化のキネティクスを制御していることを強く示唆するものである。(3)ドメイン変異マウスの解析:CABITI,2、NLS、プロリンリッチ領域欠失トランスジェニックマウスの作製は完了し、現在Gasp欠損マウスと交配中である。(4)結合パートナーの探索:免疫沈降法、酵母2ハイブリッド法と2種類の方法で精力的に探索したが、Grb2以外の新しい結合蛋白を見つけることはできなかった。しかし、この探索の過程でGasp蛋白には分子量が2-3Kd小さいショートフォームが存在することが明らかとなった。これが、選択的スプライシングによるものか、蛋白限定分解によるものかを現在解析中である。
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Research Products
(3 results)