2010 Fiscal Year Annual Research Report
オセアニア島嶼域における環境文明史の再構築
Publicly Offered Research
Project Area | Pan Pacific Environmental Changes and Civilizations |
Project/Area Number |
22101502
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
印東 道子 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授 (40203418)
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Keywords | オセアニア / 先史文化 / 島嶼環境 / 環境改変 / 人間居住 |
Research Abstract |
本研究では、オセアニアにおける人間と環境との関わりのうち、以下の3点を重点的に研究することを目的としている。 1 人類の移動史と古環境の関係 2 人類の居住史と環境改変 3 文明と環境のダイナミズムの解明 最近20年間に、これらのテーマを扱った考古学および環境史の研究増加は著しく、雑誌論文を中心に文献の収集およびデータベースの構築を行った。とくに本年度は、ミクロネシアおよびメラネシア地域を扱った文献情報の収集を行い、総計で215の英文資料目録を作成した。来年度はポリネシア地域を扱った文献情報を中心に、さらにこの目録を充実させてゆく予定である。 今年度の研究成果概要は以下のようなものである(予察)。 環境(とくに気温の変化)と人間移動パターンの間の関係性を検討した結果、更新世代に見られる人間移動と環境の関係と、完新世に見られる人間移動と環境の関係では、パターンが異なる可能性が指摘できた。更新世代の東南アジアからサフル大陸への移動は、今から2万年から5万年前の氷河期に行われ、海面は下がる傾向にあった。それに対し、完新世代に新石器集団(オーストロネシアン)がオセアニアへ移動したのは、今から3300年~3500年前ごろである。この時期は氷期が終わり、海面が劇的に上昇しつつある時期であった。 つまり、それまでの海岸線が沖合に遠のいたので海を渡ることが容易になったパターンと、海洋資源の採集などに利用していた海岸域が水没したので、海を利用して移動したパターンの違いと考えることができる。その違いの背景には、海上交通技術の差、および海洋資源の利用の社会的重要度の差などが存在するものと予察される。 今年度は、ミクロネシアやポリネシアへの拡散に見られる時間差を解釈するため、環境変化との関連性に共通したパターンが見つかるかどうかを追求する予定である。
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Research Products
(10 results)