2010 Fiscal Year Annual Research Report
異種g因子2重量子ドットを用いた電子スピン・核スピン制御の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Quantum cybernetics - interdisciplinary studies of quantum controls and developments toward quantum computing |
Project/Area Number |
22102505
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大野 圭司 独立行政法人理化学研究所, 河野低温物理研究室, 専任研究員 (00302802)
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Keywords | 半導体量子ドット / 核スピン |
Research Abstract |
量子ドット内の核スピン自由度を量子ドットの電子スピン量子ビットに対する量子メモリとして利用することを目標に研究を進めている。大きく偏極した核スピンの偏極方向互いに反対向きの2つの方向、外部磁場に平行、あるいは反平行、に制御することに成功した。偏極方向はDCソース・ドレイン電圧を変えるだけで選択可能で、さらにパルスRFを用いたNMR制御も同時に行った。偏極のコヒーレンス時間は1ミリ秒と長く、核スピン偏極は長寿命量子メモリとして機能しうることを示すことができた。 具体的には、半導体2重量子ドットのスピンブロッケード状態で観測されるリーク電流を検出プローブとし、特定の電子スピン核スピン散乱の時間的繰り返しによりドット内の核スピンを一方方向へ偏極させ、さらに試料近傍に設置したコイルによりrf帯の交流磁場を印加することでNMRの手法により偏極核スピンをコヒーレントに制御した。リーク電流が核スピン偏極に依存し変化することを利用し、NMR制御の後、核スピン状態が再び初期化されるまでの時間を測定することで核スピン状態の検出を行う。電子スピン核スピン散乱に関わる電子スピン状態として、従来から可能であったT+3重項状態から1重項状態へのスピン散乱に加え、新たにT-3重項状態から1重項状態へのスピン散乱が可能になった。2種の散乱を電圧で選択的に誘起することにより、核スピンの偏極方向を制御することが可能となった。
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Research Products
(9 results)