2010 Fiscal Year Annual Research Report
J-PARCにおけるπ中間子を用いたK中間子原子核の探索
Publicly Offered Research
Project Area | Quest on new hadrons with variety of flavors |
Project/Area Number |
22105506
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤岡 宏之 京都大学, 理学研究科, 助教 (30513395)
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Keywords | ストレンジネス / K中間子原子核 / 強い相互作用 / J-PARC |
Research Abstract |
大強度陽子加速器施設J-PARCのE27実験では、液体重水素標的にπ^+中間子ビームを照射することによりK中間子原子核K^-ppの探索を行う。反K中間子と核子の間に働く強い引力により、反K中間子と原子核の束縛状態が存在することが理論的に予想されている。重陽子中の1核子が反応するバックグラウンドがK中間子原子核の生成と比べて非常に多いことが想定されるため、K中間子原子核のシグナルを捉えるためのレンジカウンターの設計、製作を行った。具体的には、K^-pp状態がΛ粒子と陽子に崩壊するモードに着目し、Λ粒子がさらに崩壊して出来る陽子と併せて2個の陽子を同時に検出する。バックグラウンド事象では陽子が高々1個しか放出されないがπ中間子も発生するため、π中間子と陽子を識別する必要がある。 本年度は、期待される陽子の放出角度と運動量の相関を元に、レンジカウンターの構成をシミュレーションにより決定した。5層のプラスティックシンチレータを重ねたものを1ユニットとし、それをビームから見て左右それぞれに3ユニットずつ設置することとした。まずプロトタイプを製作し、11月にπ中間子ビームを用いたテスト実験を行った。飛行時間や各プラスティックシンチレータのエネルギー損失の大きさの情報を組み合わせることで、陽子とπ中間子を識別できることを示した。 その結果を踏まえ、本実験に必要な6ユニットの検出器を完成させた。また、平成23年4月にE27実験を行うことが決まり、標的の周りに全検出器のインストールを行った。しかしながら3月1日に発生した東日本大震災によりJ-PARCも被害を受け、4月のビームタイムは取り止めとなった。3月末時点ではJ-PARCへの入構が制限されているため、翌年度にレンジカウンターを含め実験装置の健全性の確認を行い、J-PARCの運転再開後の実験実施に向けて改めて準備を進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)