2011 Fiscal Year Annual Research Report
超弦理論を用いたハドロン物理学の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Quest on new hadrons with variety of flavors |
Project/Area Number |
22105509
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
名和 要武 大阪大学, 核物理研究センター, 特任研究員 (00456914)
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Keywords | ハドロン物理 / ゲージ理論 / 超弦理論 / エキゾチックス / ゲージ・重力対応 |
Research Abstract |
超弦理論における新概念である「ゲージ・重力対応」から得られたカイラル有効作用を用いて、複素カラー面のトポロジーから、カラー数Nc=3の現実世界におけるハドロンの内部構造を分類する、全く新しい包括的手法を構築した。 1997年にマルダセナ(プリンストン大学)によって提案された「ゲージ・重力対応」は、ゲージ理論の非摂動側面を、双対な重力理論の古典計算で解析可能にしており、ハドロン物理学にとどまらず、物性の凝縮系物理学や高温超電導現象、量子もつれなど、さまざまな分野で多岐に渡る応用が提案されてきた。しかし、ゲージ理論のカラー数Nc展開の主要項の解析に留まっており、主要項を超えた新現象としての「エキゾチック粒子」の解析には全く実効性が無かった。さらに、この様なカラー数展開の高次効果は、弦理論の量子効果に対応し、弦理論の枠組みでこれを適切に評価することは極めて困難であった。本研究では、共鳴状態の2準位断熱遷移に対する「拡張された複素行列模型」を新たに構築し、複素カラー面のトポロジーから、カラー数Nc=3の現実世界におけるハドロンの内部構造を記述する包括的手法を新たに構築した。特に複素カラー面に現れる「特異点」は、多準位統計における量子カオス性発達の指標として、量子カオスの分野では長年注目されてきた概念である。具体的に、本研究はa1(1260)中間子の内部構造の理解に応用したが、継続的に様々な種類のハドロンの内部構造の包括的分類に使用可能と期待される。本研究は2010年の学会発表を始め、2011年度は2回の国際会議(査読有)で研究発表され、大きな注目を集めた。
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