2010 Fiscal Year Annual Research Report
B中間子崩壊による軽クォーク中間子の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Quest on new hadrons with variety of flavors |
Project/Area Number |
22105511
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
松田 達郎 宮崎大学, 工学部, 教授 (20253817)
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Keywords | ハドロン物理学 / 素粒子実験 / 中間子 / クォーク模型 / QCD / KEK-BELLE実験 |
Research Abstract |
本研究の大きな目的は、QCDの動力学によってクォークとグルーオンから中間子や重粒子などのハドロンがいかに形成されるかという問題を解明することである。しかし、これは理論および実験の共同による総合的な研究によらなければならず、理論の発展の必要と伴に、理論の基礎となり、またこれを裏付ける信頼される実験的データの確立が必要である。そこで本研究ではこの大きな目的に向けた研究の一環として、高統計高精度の実験データを用いて中間子スペクトルの全容をあらためて見直すことを目的とする。第1段階としてKEK・BELLE実験による高統計量のB中間子崩壊データを用いて、B→D*a_1、a_1→3π反応を部分波解析することによってa_1中間子の研究を行う。a_1中間子は基本的な軽クォーク中間子として知られているにもかかわらず、質量、共鳴幅とも十分な精度では定まっておらず実験間で食い違った結果を与えている。そこで本年度はa_1中間子のパラメーターを決定するため、KEK-BELLE実験からa_1中間子生成データの抜き出し(スキムデータ)プログラムの作成を行い、合わせて部分波解析プログラムの作成を行った。最終的プログラムの完成までにはさらに時間を要するが、本年度でほぼ見通しが付いたと言える。さらに同様の手法を用いて同じく軸性中間子であるK_1中間子のスキムデータプログラムの作成を進めた。これらの研究を通じて、軽クォークからなる中間子スペクトルの実験的データの確立に貢献することが期待できるものである。
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