2010 Fiscal Year Annual Research Report
錫122-π中間子原子分光実験
Publicly Offered Research
Project Area | Quest on new hadrons with variety of flavors |
Project/Area Number |
22105517
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
板橋 健太 独立行政法人理化学研究所, 岩崎先端中間子研究室, 専任研究員 (30322093)
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Keywords | 精密分光 / 中間子原子 / 強い相互作用 / 重陽子ビーム / カイラル対称性 |
Research Abstract |
錫123原子核を標的として用いたπ中間子原子分光実験のパイロット実験を理研が最近建設を完了したRIBF施設で初めて行った。この実験は、精密分光を目指す本研究の進展において非常に重要なステップの一つである。実験は、同施設で初めて高輝度重陽子ビーム(毎秒約一兆個)を標的に照射し、重陽子ビームの諸元計測、ビーム光学系の策定、検出器の開発・較正、全システムの確認を目標として2010年10月に約一週間行われた。この実験に先立ち、検出器作成、トリガ回路設計、データ収集解析システムの整備などを行った。すなわち、検出器が毎秒数百万個以上の入射粒子強度で動作し、データ収集系が毎秒一千トリガ以上を許容可能でかつ、全てのシステムを放射線管理区域に設置し、遠隔で監視・運用可能なシステムの構築である。これらのシステムを同施設に実際に設置した同実験においては、信号となるヘリウムをハードウエアレベルで、信号波高および飛行時間により弁別する事で、最高ビーム強度においてもトリガ頻度を200Hz以下に抑える事ができ、データ収集効率と信号・背景比(S/N比)を同時に大きく改善する事が出来た。この結果、全ての検出器やトリガ系、データ収集システムが正常に動作し、ビーム光学系の主要部分がほぼ計算通りに設定されている事が分かった。現在は、加速器からとりだされる重陽子ビームの諸元を解析し、分光分解能や検出効率などの評価を行っている。
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Research Products
(8 results)