2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子状酸素を用いる酸化反応を基盤とする超効率的フローシステムの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
22106507
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮村 浩之 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特任助教 (00548943)
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Keywords | 固定化触媒 / 金属ナノクラスター / フローシステム / 金触媒 / 酸素酸化 / 反応集積化 / アルコール酸化 / 高分子 |
Research Abstract |
研究代表者らは既に、ポリスチレンを基盤とする高分子や高分子と活性炭の複合担体に固定化した金ナノクラスター触媒(PI-Au、PI-CB/Au)が、アルコールの酸素酸化反応を始め種々の酸化反応に有効に機能することを見いだしている。 本年度は、高分子と活性炭の複合担体に合金ナノクラスターを担持することでより活性の高い触媒(PI/CB-Au/Pt、PI/CB-Au/Pd)を開発した。さらに興味深いことに、合金ナノクラスター中の金属の組み合わせを変えることで反応経路を制御できることを見いだした。すなわち、金-白金ナノクラスターを用いた場合一級アルコールからアルデヒドが選択的に合成できるのに対し、金-パラジウムナノクラスターを用いた場合は対応するエステルが選択的に得られた。このように、ナノクラスター中の金属の組み合わせを変えることで反応経路が制御できる例は非常に珍しく、今後詳細な検討によりそのメカニズムの解明、さらなる応用を行う予定である。 さらに、これらの触媒をカラムに充填し、アルコールを含む有機相、水相、一気圧酸素を同時に通過させることで効率的にアルデヒド、ケトン、エステル、カルボン酸をそれぞれ選択的に得られるフローシステムを開発した。興味深いことに、バッチ反応に比べフローシステムを用いた方がより高い選択性でそれぞれの目的物を得ることができた。これは、フローシステムにより基質と触媒の接触時間を精密に制御できることで過剰酸化が抑制できたためと考えられる。 さらに、PI/CB-Au/Pd触媒を用いることで、酸素を酸化剤として用い、エタノールのみを原料とし効率的に酢酸エチルが合成できることを見いだした。本反応においては触媒中の金とパラジウムの比率が酢酸エチルの選択性、反応性に大きく影響し、最適化された条件では金属あたりの触媒回転数は4000回を超えた。本手法はクリーンで効率的な工業的な酢酸エチル合成法としても期待される。
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Research Products
(25 results)