2011 Fiscal Year Annual Research Report
分子状酸素を用いる超効率的フローシステムの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
22106507
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮村 浩之 東京大学, 理学系研究科, 特任助教 (00548943)
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Keywords | 固定化触媒 / 金属ナノクラスター / フローシステム / 金触媒 / 反応集積化 / アミド合成 / 酸素酸化 / 二元金属触媒 |
Research Abstract |
前年度までに開発した高分子カルセランド型金-白金、金パラジウムナノクラスター触媒(PI/CB-Au/Pt,PI/CB-Au/Pd)を気-液-液-固四相流通系反応へと適用した。有機相、水相、大気圧酸素の三相を固体触媒を充填したカラムに通過させることで反応を行った。その結果、アルコールのアルデヒド、メチルエステルへの酸素酸化反応において、バッチ反応と比べ高い選択性、空時収率で目的物を得ることができた。さらにいずれの場合も200時間以上にわたって高い活性を維持できることが明らかとなった。 また、金、および金-鉄、金-ニッケル、金-コバルトナノクラスター触媒(PI/CB-Au,PI/CB-Au/Fe,Au-Ni,Au-Co)を用いた一級アルコールとアミンからの酸化的直接アミド合成反応を開発した。様々な対照実験から、本反応はアルコールのアルデヒドへの酸素酸化、引き続くアミナール形成、二回目の酸化という三段階の反応が同一高分子担持触媒中で集積化されていることがわかった。触媒は簡便な作業のみで複数回の回収、再利用が可能であった。また、金属ナノクラスター触媒において金と鉄、ニッケル、コバルトといった第四周期金属との組み合わせが優れた反応性、選択性を与える例は珍しく、ここでの金の役割は酸素酸化反応の触媒、第四周期金属の役割は不安定中間体であるアミナールの形成促進、安定化であることが種々の実験結果から示唆された。さらに、本反応は様々なアルコールやアンモニア水やアミノ酸誘導体を含めたアミンを用いることができる実践的なアミド合成法である。また、今後本反応を用いた空間的集積化によりポリペプチド合成等への応用も可能であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、酸素酸化過程を含む二段階、三段階の反応を一つの高分子固定化金属ナノクラスター触媒を用いて集積化し、多相系フローシステムへの適用に成功した。さらに、本研究の過程において、全く新しい金属ナノクラスター触媒系による、アルコールとアミンからの酸化的アミド化反応を開発した。本反応は金ナノクラスターと、鉄、ニッケル、コバルトなどの第四周期金属と組み合わせた複合触媒系で非常に効率的に進行し、このような金属触媒の組み合わせが優れた反応性、選択性を与える例は珍しく学術的にも興味深く、さらなる発展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発した多相系フローシステムを他のフローシステム、例えば固定化ルイス酸触媒による炭素-炭素結合形成反応のフローシステム等と組み合わせることでより高度な反応の集積化を目指す。また、本研究で見いだしたアルコールとアミンからの酸化的直接アミド合成反応をフローシステムへ応用することで、反応の集積化によるポリペプチド、ポリアミドのコンビナトリアル合成への展開が期待できる。さらに、アルコールとアンモニア水を用いる一級アミド合成、続くアルキル置換反応の集積化により、単純な原料から様々な二級、三級アミドの合成を目指す。
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Research Products
(23 results)