2011 Fiscal Year Annual Research Report
含フッ素生理活性物質の集積合成
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
22106515
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
柴田 哲男 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (40293302)
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Keywords | トリフルオロメチル / イソキサゾリン / 不斉合成 / ピロリン / シアノ化 / シンコナアルカロイド |
Research Abstract |
トリフルオロメチル基を有するジヒドロアゾール化合物群が顕著な殺虫活性を示すことから,農薬候補化合物群として注目を集めている。代表的な5-トリフルオロメチル-2-イソキサゾリン化合物の合成法としては,ビルディングブロックによる合成法はいくつもの報告例があるが,イソキサゾールに対するトリフルオロメチル化反応による合成例はない。我々は,含フッ素生理活性物質の集積合成を念頭に,一連の農薬候補化合物の集積合成を試みた。まず,イソキサゾール4位に強力な電子求引性基であるニトロ基を導入することで,初めて芳香族イソキサゾールへの一挙に直接的トリフルオロメチル化反応が進行することを見出した。またイソキサゾリンの炭素類縁体であるトリフルオロメチルピロリンも興味深い生理活性を示すことが知られている。しかし不斉合成法の報告はない。我々は,シンコナアルカロイドチオウレア触媒を用いて,β-トリフルオロメチルエノンに対する,ニトロメタンの高エナンチオ選択的Michael付加反応およびFe/AcOHを用いたニトロ基の還元/環化/脱水の連続反応によるβ-トリフルオロメチルピロリンへの変換反応をワンポットで行うことで,β-トリフルオロメチルピロリンを高収率かつ高選択性で得ることに成功した。またシンコナアルカロイド相間移動触媒存在下,グリシンシッフ塩基の不斉共役付加反応に続く,イミンの加水分解/環化/脱水反応の連続反応を行うことで,β-トリフルオロメチルピロリンカルボキシレートの不斉合成にも成功した。また不斉四置換炭素を有するトリフルオロメチルピロリンの不斉合成にも成功した。すなわち光学活性ヒドロキシル基を保護したシンコナアルカロイド相間移動触媒とシアノヒドリンをシアノ化剤として用いることで,高立体選択的に共役シアノ化体を得て,シアノ基の還元/環化/脱水の連続反応を行うことで,不斉四置換炭素を有するトリフルオロメチルピロリンへと変換することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的にそったデータを得ることが出来,その成果を学会発表および論文発表により公表することが出来たから。
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Strategy for Future Research Activity |
当該研究は23年度をもって終了するが,今後は,マイクロフロー装置を用いた不斉導入法などを探索していく予定である。
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Research Products
(94 results)