2011 Fiscal Year Annual Research Report
長鎖ポリエーテル基により包み囲まれた遷移金属触媒中心による反応集積化
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
22106517
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻 康之 京都大学, 工学研究科, 教授 (30144330)
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Keywords | 遷移金属触媒 / 長鎖ポリエーテル / 触媒活性 / 反応集積 / 触媒環境 |
Research Abstract |
本研究の目的は,高度に配位的に不飽和で,通常は極めて短寿命活性種である触媒中心を長鎖ポリエーテルで包み囲むことにより安定化し,かつ酸化的付加,金属交換,還元的脱離など一連の触媒素反応をその制御空間の中で高度に集積化し効率化することにより,極めて高活性,高選択的,高効率的な触媒反応を開発することにある。平成23年度においては,ポリエーテルの鎖長が,これまでに我々が開発した配位子と比較して約3倍に長い配位子を合成し,その鎖長伸張が集積化度に与える影響を検討した。昨年度と同様の塩化アリールを基質として用いたパラジウム触媒による鈴木-宮浦カップリング反応をモデル反応として検討を行った。その結果,長鎖ポリエーテルを導入した配位子が温和な条件で効率良く反応を進行させることが明らかになった。一方で,短い鎖を有する配位子を用いた触媒反応ではその反応効率が劇的に低下した.さらに,ホスフィン配位子以外のカルベン配位子を用いた反応集積化学も検討した.予備的知見ではあるが,長い鎖を導入したカルベン配位子を有するパラジウム触媒系では,塩化アリールを用いる鈴木-宮浦カップリング反応が室温で進行することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究は、交付申請書に記載した計画通り概ね順調に進行し、新しい配位子の開発とその触媒反応への応用に関する研究成果が得られたため.
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Strategy for Future Research Activity |
現在得られた成果は,既存の反応の効率を大きく改善する結果であった.今後は,長い鎖をもつ触媒系が高い活性を示した要因を明らかにすると共に,より挑戦的な課題として,新しい配位子よる新しい触媒反応の開発を進める必要があると考えている.
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Research Products
(20 results)