2010 Fiscal Year Annual Research Report
キラル相間移動触媒反応を基軸とした効率的有用化合物合成法の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
22106519
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白川 誠司 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60459865)
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Keywords | 不斉合成 / 有機触媒 / 相間移動触媒 / 環境調和型反応 / 集積化反応 / アルキル化反応 / フッ素化反応 / 生理活性化合物 |
Research Abstract |
第四級不斉炭素中心を有する1,1-二置換テトラヒドロ-β-カルボリンは、生理活性化合物中に見られる構造であり、その立体選択的合成法の開発は非常に重要な研究課題である。しかしながら、その触媒的不斉合成法の例は非常に限られており、一般性の高い効率的不斉合成法の開発が強く望まれていた。このような背景の中、本研究ではキラル相間移動触媒を用いたアルキル化反応による、1,1-二置換テトラヒドロ-β-カルボリンの触媒的不斉合成反応の開発に取り組んだ。本反応の鍵となる出発物質として、反応後のアルキル化生成物をさらに有用な化合物へと変換するため、1-シアノテトラヒドロ-β-カルボリン誘導体を選択した。効率的にアルキル化生成物を得るため、詳細に反応条件を検討した結果、N-スピロ型キラル相間移動触媒を用いることで高エナンチオ選択的に生成物を与えることを見いだした。本反応には、様々なハロゲン化アルキルが適用可能であり、1,1-二置換テトラヒドロ-β-カルボリン類のライブラリー合成が可能であることを明らかにした。また、本アルキル化反応により得られた生成物は、生成物中のシアノ基の加水分解反応を利用した連続反応により、生理活性化合物の骨格中に見られる四環式化合物へと効率的に変換出来ることを明らかにした。 生理活性化合物の合成において有用なツールとなりうる不斉フッ素化反応の開発を行った。本反応には、新たに開発した二官能性キラル相間移動触媒が有効であり、本触媒を用いることで、高立体選択的なβ-ケトエストルの不斉フッ素化反応を実現した。
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Research Products
(5 results)