2011 Fiscal Year Annual Research Report
キラル相間移動触媒反応を基軸とした効率的有用化合物合成法の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
22106519
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白川 誠司 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60459865)
|
Keywords | 不斉合成 / 有機触媒 / 相間移動触媒 / ライブラリー合成 / アミノ酸 / 共役付加反応 / アルキル化反応 / 反応集積化 |
Research Abstract |
C型慢性肝炎治療薬であるテラプレビルは、近年最も注目を集めている化合物の一つである。テラプレビルの効率的合成法の開発は近年盛んに行われているが、中心骨格の二環性アミノ酸部位の触媒的不斉合成法の開発は未だ達成されておらず、重要な研究課題である。本研究では、キラル相間移動触媒を用いたグリシン誘導体の不斉共役付加反応を鍵反応とし、単離生成時のシリカゲルの作用による加水分解、続くイミン形成に伴う環化により、目的の骨格を効率的に構築することに成功した。この環化生成物を水素添加することで、効率的に目的の二環性アミノ酸を高立体選択的に得る手法を確立した。本反応は、容易にグラムスケールでの合成に適用可能であり、その実用性も示すことが出来た。さらに本法を、3位置換プロリンの触媒的不斉合成法に展開し、3位置換プロリン類のライブラリー合成法を確立することが出来た。次に、生理活性化合物の骨格中に数多く見られる1,1-二置換テトラヒドロイソキノリンの立体選択的合成法の開発に取り組んだ。本反応の鍵となる出発物質として、反応後のアルキル化生成物をさらに有用な化合物へと変換するため、1-シアノテトラヒドロイソキノリン誘導体を選択した。効率的にアルキル化生成物を得るため、詳細に反応条件を検討した結果、ビナフチル骨格を有するキラル相間移動触媒を用いることで高エナンチオ選択的に生成物を与えることを見いだした。本反応には、様々なハロゲン化アルキルが適用可能であり、1,1-二置換テトラヒドロイソキノリン類のライブラリー合成が可能であることを明らかにした。
|
Research Products
(6 results)