2010 Fiscal Year Annual Research Report
触媒的連続置換反応による多置換縮合芳香族化合物の集積合成
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
22106526
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三浦 雅博 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20183626)
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Keywords | 合成化学 / 遷移金属触媒 / 連続置換 / 芳香族化合物 |
Research Abstract |
本課題では、新規なアリール置換芳香族およびヘテロ芳香族誘導体の創成にむけて、我々がこれまで手がけてきた配位性官能基をもつ芳香族基質の炭素-水素結合切断を含む触媒的連続置換反応を基軸に、パイ共役が拡張した多環化合物を一度の処理で一挙に構築する同一時空間集積合成法の開発を行うことを目的としている。本年度は、まずロジウム触媒を用いたヘテロ環配向基補助に基づくアセチレン化合物による芳香環拡張反応を検討した。先にロジウム錯体触媒および酸化剤としての2価の銅塩存在下、ピラゾールやイミダゾールのような含窒素ヘテロ環基の置換したベンゼン化合物をジアリールアセチレンとともに処理するとオルトおよびメタ位の二つないし四つの炭素-水素結合切断を伴って1:2および1:4カップリング生成物であるナフタレンおよびアントラセン化合物が生成することを見出している。この反応の詳細な反応条件の検討を行ったところ、用いるアセチレンの当量と反応温度を制御することによりナフタレンおよびアントラセン化合物をそれぞれ選択的に合成できることを明らかにした。この反応による生成物はいずれも固体蛍光を示すが、特にベンゾオキサゾールの置換したアントラセン化合物は極めて強い蛍光を発し、絶対蛍光量子収率の測定値は0.66であった。一方、1-フェニルピラゾールを基質としてアルキンとの反応を行うと二種の1:1カップリング生成物、すなわち、ヒドロアリール化によるオルト位ビニル化物および渡環によるピラゾロキノリン誘導体の副生が見られたが、条件の精査によってそれらの選択的生成にも成功した。さらに、重水素同位体効果の検討により、これらの反応の律速段階に炭素-水素結合切断が含まれることを示唆する結果を得た。
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Research Products
(18 results)