2010 Fiscal Year Annual Research Report
アニオン性不安定活性種の創成と制御並びに合成化学的活用法の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
22106529
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神戸 宣明 大阪大学, 工学研究科, 教授 (60144432)
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Keywords | カルバモイルリチウム / カルバモテルロアート / アミド / リチウム-テルル交換反応 / マイクロリアクター / 不安定活性種 |
Research Abstract |
本研究は、マイクロリアクターを活用した時間的・空間的反応集積化により、短寿命活性種の制御と活用を目的としている。本研究の最初のテーマとして、合成化学的利用を目指した研究に取り組んだ。様々な不安定活性種の中から、カルバモイルリチウムを対象として選び、その生成と効率的捕捉を試みた。窒素上にフェニル基を有するカルバモイルリチウムは低温下でも容易に脱カルボニル化を起こす動力学的に不安定な化合物である。まず、フラスコを用いる通常の実験手法により、-72度でカルバモテルロアートとブチルリチウムを反応させ、生成したカルバモイルリチウムを2分後に酢酸によりクエンチしたところ、捕捉されて生成するアミドと脱カルボニル化により生成するアミンの比が1:4となり、プロトン捕捉の前に約80%のカルバモイルリチウムが脱カルボニル化を起こした。一方、マイクロリアクターを用いて同温度で反応させ、1秒後に捕捉したところ、生成比は3:1と逆転し、大部分のカルバモイルリチウムが効率よく捕捉された。今後は、捕捉率の更なる向上と、様々な親電子剤を用いる事により、カルバモイルリチウムの合成化学的応用をはかる。また、β-脱離が起こりやすいβ-リチオキシアルキルリチウムの前駆体となる、テルリドを合成した。時間的反応集積化のもうひとつの利用方として、低温下でも速い反応の速度を求める検討も開始した。反応として、Ni触媒を用いるハロゲン化アルキルとグリニヤール試薬とのクロスカップリング反応を選び、反応速度を求める予備的実験を行ったところ、ヨウ化アルキルは反応性が高く、-50度以下での測定が必要であることが明らかとなり、マイクロリアクターを活用した速度論的研究を開始した。
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Research Products
(5 results)