2010 Fiscal Year Annual Research Report
集積型精密制御法による含フッ素活性種の創製とその高次応用
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
22106531
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
網井 秀樹 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00284084)
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Keywords | 有機合成化学 / 有機フッ素化合物 / カルバニオン / 選択的変換 / マイクロフロー |
Research Abstract |
含フッ素置換基を求核的に有機化合物に導入する反応は,多岐に渡るフッ素化合物を合成する強力な手法である。しかしながら,一般的には「含フッ素アルキル基の求核的導入」は困難である。これは,含フッ素アルキルカルバニオン種の不安定さに起因するものである。今回、トリフルオロメチルアニオン種のα-フッ素脱離、およびβ-フッ素脱離を抑制しながら、求核的に含フッ素置換基を導入する反応の開発を目指した。 銅触媒芳香族トリフルオロメチル化反応において、トリフルオロメチル銅のα-フッ素脱離から生じるジフルオロカルベン(:CF_2)の挿入反応によって,ペンタフルオロエチル化物(Ar-CF_2CF_3)が副生することが知られている。私たちは、トリフルオロメチル銅のα-フッ素脱離を抑制した芳香族トリフルオロメチル化クロスカップリング反応を開発した。具体的には,トリフルオロメチルヘミアミナール誘導体が芳香族トリフルオロメチル化剤として用いる反応系である。特に,銅アルコシド錯体からトリフルオロメチル銅錯体をゆっくりと生成させて,これとヨウ化アリールと反応させることが,α-フッ素脱離由来の副生物の生成を抑制するカギとなった。 私たちはさらに、β位にフッ素を有するカルバニオンの発生について検討した。β位にフッ素を有するカルバニオンは容易にβ-フッ素脱離を起こし,アルケンを生成することが知られている。マイクロフロー法の美点を利用して、様々なアニオン源から低温条件下で「β位にフッ素原子を有するアルキルリチウム」の発生を行なっているが、今のところ、β-フッ素脱離生成物が主生成物として得られている。
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