2011 Fiscal Year Annual Research Report
集積化チップを用いた有機光反応の革新的手法の開拓
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
22106532
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
垣内 喜代三 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (60152592)
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Keywords | マイクロリアクター / 有機光反応 / CMOSセンサ / リアルタイム計測 / 不斉[2+2]光付加環反応 / LEDランプ / 光脱保護反応 / シルセスキオキサン |
Research Abstract |
有機光反応に適した集積化マイクロフローセンサチップを設計・構築し、その特長を活かした光反応の革新的手法の開拓を目的に、今年度は、まず、マイクロフローリアクター装置を購入、シクロペンテンテンとのジアステレオ選択的[2+2]光付加環化反応を検討した。その結果、光路長が極めて短いことによる光の高い透過性の利点が十分に活かせ、365nmのLEDランプを用いた光照射では769mMの濃厚溶液でも72%転化率を達成した。また、1-ニトロナフタレンの存在下、15分の光照射時間では、バッチ型反応器では本反応は進行しないのに対し、マイクロリアクター装置では15分で50%の転化率を示し、添加物光反応系で最も高い選択性で光付加体が得られることを見出した。 昨年度から継続して行っているエチレンとの気液ジアステレオ選択的[2+2]光反応では、バッチ型反応管では光反応が完結するのに15分要するのに対し、チューブを高圧水銀灯に巻きつけたキャピラリーフローリアクターでは1分間で完結した。さらに本システムの出口での反応結果を同時分析するために、マイクロ計測技術の専門家である連携研究員との共同で、CMOSセンサチップを用いて旋光度と吸光度のリアルタイム計測ユニットを構築した。エチレンガスの滞留によるセンサ誤差を最小限にするために、様々な検討を行い、市販の旋光度計と同等の値を示す小型化計測ユニットの製作に成功した。 また、光反応の集積化の観点から、有機無機ハイブリッドのシルセスキオキサンの8角に、スペーサーを介してキラルメントール次いで基質のエノンを集積化し、エチレンとの不斉光反応を行った。これまでと同様に光反応がスムーズに進行し、高収率および良好な選択性で付加体を与えた。さらに、光マイクロリアクター装置を光脱保護反応に応用した結果、15分間の光照射により、定量的に反応が進行することも明らかにした。
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