2010 Fiscal Year Annual Research Report
電気的スイッチにより制御されたπ共役系分子の集積的構築法の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
22106533
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
光藤 耕一 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (40379714)
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Keywords | 電気的スイッチング / 集積化 / 拡張π電子系分子 / ホモカップリング / クロスカップリング / 連続反応 / タンデム反応 |
Research Abstract |
本研究では、電解酸化において電気を流すと系が酸化条件になり、通電を止めるだけで系を容易に非酸化条件にスイッチできることに着目し、電気化学的カップリング反応プロセスと通常のカップリング反応との集積化による拡張π電子系化合物の効率的合成法の確立を目的としている。電気的スイッチのオン/オフで反応点を切り替えることができれば、電気的スイッチのオン/オフを繰り返しながら逐次的に反応を行うことで高速連続的分子変換システムが構築可能になると期待される。 まず、ハロフェニルボロン酸の電気化学的ホモカップリング反応の開発に着手した。我々は既にTEMPOをメディエータに用いたアリールボロン酸のホモカップリング反応を報告しているが、本法では目的物はわずかしか得られなかった。そこでさらに条件を精査し、メディエータとしてパラベンゾキノン(pbq)を用い、70℃に加温することで収率を42%にまで向上させることができた。 次に末端アルキンの電気化学的ホモカップリング反応に着手した。まず銅触媒を用いて、系中での銅アセチリド発生を経るGlaser型カップリング反応を試みたが反応はほとんど進行しなかった。そこで種々条件検討した結果、Pd/Cu複合触媒系において、目的とするカップリング反応が効率よく進行することを見出した。 電気化学的カップリング反応としてアリールボロン酸と末端アルキンを基質とした酸化的薗頭型反応も行った。種々条件検討した結果、陽極に銀板を用いると効率よく反応が進行することを見出した。これは系中で発生した銀イオンとアルキンが反応することで銀アセチリドが系中で発生し、これが鍵中間体として反応が進行しているものと思われる。 次にこれらのカップリング生成物を用いて鈴木-宮浦反応を行った(電気オフのステップ)。いずれの場合も収率よくカップリング生成物を与えた。そこで、最後に電気オン・オフのステップを続けて行った。いずれの場合も二ステップ目(電気オフ)が単独に行った場合と比べて収率が低下するものの、反応は進行し、電気的スイッチングが可能であることが明らかとなった。収率の向上が今後の課題となる。
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