2011 Fiscal Year Annual Research Report
機能性炭素反応剤を用いた集積化反応の高度複合化研究
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
22106534
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新藤 充 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (40226345)
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Keywords | フローリアクター / イノラート / リチウム / バッチ反応 / マイクロミキサー / 有機化学 |
Research Abstract |
これまでに機能性炭素反応種であるイノラートの創製と合成反応の開発を推進し、多くの新規合成反応を見出し古典的単純反応種から脱却した炭素反応種の新局面を開拓してきた。イノラートは他の反応活性種(エノラートやケテン)の前駆体でもあり、巧妙な反応設計によりドミノ反応やワンポット合成のイニシエーターとして多彩な集積反応を開発した。我々が開発したイノラートの生成法はジブロモエステルに-78度冷却下、アルキルリチウムを加えるだけというきわめて簡便な操作しか要しないが、大量合成の場合、低温無水反応装置に制約が生じる。そこでフロー系によるイノラートの生成と合成反応を試みた。ステンレス製のマイクロミキサーと直径1mmのチューブでリアクターを制作し、s-ブチルリチウムとジブロモエステルをミキサーで混合し、さらに反応基質のTHF溶液を第2のミキサーで混合するという実験を行った。評価系としてバッチ系では高収率を与えるベンゾフェノンのオレフィン化を行った。その結果、全工程を0度から20度の外温、反応時間が1分以内という短時間で50~70%の収率でオレフィンを得ることができた。バッチ系では-78度の冷却で30分の反応時間が必要であった点を考慮すると格段の進歩である。しかし、収率が一定しない問題点が生じた。それは系内でブタンガスやエチレンガスが気泡として発生し、送液が一定しない点、さらには連続運転でミキサー内の発熱が顕著になった点、そして塩の沈殿によると思われるチューブの閉塞に起因すると考えられた。そこでリチオ化剤とリチウムナフタレニドとしたところ、これらの問題が解決したが、内圧上昇による送液停止は連続運転時にしばしば生じた。そこでミキサーをCometXに切り替え、ミキサー内のチップを調整したところこれも解決し、グラムスケールでの反応に成功した。このようにイノラートのフローリアクターでの生成と反応に成功した。
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