2010 Fiscal Year Annual Research Report
タンデム触媒反応系の開発とフロー型連続触媒反応システムの構築
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
22106536
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲永 純二 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (50091244)
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Keywords | タンデム触媒 / グリコシル化 / 希土類触媒 / イオン液体 / グリーンケミストリー |
Research Abstract |
時空間集積型反応として,同一フラスコ中で複数の触媒反応が連続して進行するタンデム触媒反応系のオリゴ糖合成への応用を,また空間集積型不斉触媒反応の開発を目指して,不斉触媒・イオン液体一体型リサイクルシステム構築のための基礎研究を行った。 1-ヒドロキシ糖のO-グリコシル化が,触媒量のメトキシ酢酸と希土類パーフラートを用いることにより,対応するエステル化とそれに続くグリコシル化の二種類の触媒反応が同一フラスコ中で連続的に進行することを見出している。本研究では,1,x-位にフリーの水酸基を有するフラノースやピラノースの誘導体を用いてオリゴ糖の時空間集積型一段合成を行った結果,分子内反応が主に進行する場合には対応する二環性単糖が,分子間反応が優先する場合には二糖や低分子量のオリゴ糖が生成することを見出した。 イオン液体への高い親和性を有しかつ優れた不斉触媒能を示す多重イオン性新規キラル触媒として、3,3'-位にかさ高いアンモニウム置換基がついた1,1'-ビ-2-ナフトール(BINOL)誘導体をキラル配位子とする各種希土類金属錯体を調製し、これらを不斉Diels-Alder反応のルイス酸触媒として用いて不斉触媒能評価を行うとともに、触媒含有イオン液体の回収・再利用についても検討を行った。その結果、スカンジウム錯体が、ビス(トリフリル)イミドを対アニオンとするイミダゾール系および脂肪族四級アンモニウム系イオン液体中で特異な触媒活性を示し、目的生成物を高収率高エナンチオ選択的に与えることを見出した。また本触媒は生成物の抽出操作でもイオン液体中に留まるため、「触媒-イオン液体システム」としての回収・再使用が可能であることも明らかとなった現在,本反応系のマイクロフロー系への展開を検討中である。
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