2010 Fiscal Year Annual Research Report
固体触媒の担体と金属両方を活性種として用いる反応集積化
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
22106537
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
徳永 信 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (40301767)
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Keywords | 酸化コバルト担持パラジウム触媒 / アルコキシカルボニル化 / クロスカップリング / ハロゲン化アリール / ホルミル化 / アルデヒド |
Research Abstract |
酸化コバルト担持パラジウム触媒を含浸法にて調整した。まずパラジウムが触媒能を発揮するかどうかを調べるため臭化アリルおよびその誘導体のアルコキシカルボニル化反応を行った。この反応は均一系パラジウムでは報告があるが、固体のパラジウム触媒では前例がない。その結果、生成物が最高78%で得られ、パラジウムが触媒として機能することがわかった。次に、ハロゲン化アリールのホルミル化反応を試した。この反応は一般的な均一系パラジウム触媒では困難であるが、コバルトカルボニルを共存させると効率的に反応が進行することが報告されている。検討の結果、ホルミル化反応が効率的に進行し、パラジウムとコバルトの両者が触媒として機能することが分かった。我々は酸化コバルト担持金ナノ粒子(Au/Co_3O_4)がヒドロホルミル化やアミドカルボニル化、ヒドロアミノメチル化、フィッシャートロプシュ反応など、様々な反応の触媒として機能することを見出している。また、金ナノ粒子そのものが選択的な水素化の触媒となる系も報告している。その機構として、金やパラジウムが活性化した水素が担体である酸化物上に移動するスピルオーバー現象を起こしたのちコバルトを還元し、発生したO価のコバルトが活性種として働くことを提唱している。まず、酸化コバルト担持パラジウムナノ粒子を調整し、パラジウムのXAFS測定を行った。含浸法によって調製したコバルト酸化物担持パラジウムを400℃、4時間で焼成したサンプルのPd-K端XANESスペクトルは標準試料であるPdOやPd(NO_3)_2とXANESスペクトルの形状や吸収端エネルギーが良く一致していた。これより焼成したサンプル中のパラジウムは2価で存在することが明らかになった。(Air-PdO/Co_3O_4)。また、焼成後の触媒を水素加圧下で処理したサンプルは標準試料であるパラジウム箔とXANBSスペクトルが良く一致し、パラジウムはO価に還元されていることも明らかになった(H_2-PdO/Co_3O_4)。
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