2010 Fiscal Year Annual Research Report
電解反応と遷移金属触媒反応の組合せを駆使した反応集積化
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
22106540
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
垣内 史敏 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70252591)
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Keywords | 電解酸化反応 / 炭素-水素結合切断 / ハロゲン化 / クロスカップリング / オン/オフスイッチング / ワンポットタンデム反応 / 時間的反応集積化 / パラジウム触媒 |
Research Abstract |
本研究では、Pd(II)種による炭素一水素結合切断と電解酸化により発生させたヨードニウムイオン(1^+)との反応により、アリールピリジン類のオルト位を選択的にヨウ素化させる触媒反応の開発と、ヨウ素化後に電解反応の電流を停止させることにより有機ホウ素化合物とのクロスカップリングをワンポットで行うことを目指した。 陽極側に基質のアリールピリジン、Pd(OAc)_2触媒、溶媒としてアセトニトリル、ヨウ素源としてI_2を加え、陰極側には0.2Mの硫酸水溶液を加え、5 mAの定電流条件下、90℃で加熱して行うことにより、アリールピリジン類のオルト位がヨウ素化された生成物が収率良く得られた。このヨウ素化反応は、電子供与基や電子求引基を持つ場合にでも位置選択的に進行し、対応するオルト位ヨウ素化体を良好な収率で与えることが明らかとなった。 次いで、本研究で開発した炭素一水素結合のヨウ素化の展開として、電解反応によるヨウ素化生成物を、ワンポットでアリールボロン酸とカップリングさせる反応の開発を目指した。この手法では、両反応にパラジウム触媒が関与しているが、各反応での活性種が異なる。ヨウ素化段階ではPd(II)/Pd(IV)の触媒サイクルが関与すると考えられ、2段階目ではPd(0)/Pd(II)の触媒サイクルが関与していると考えられる。まず、アリールピリジン類を基質に用い電解ヨウ素化条件下で反応を行った。その後、電流をオフにすることにより電解酸化を停止した。両極にK_2CO_3を加えて塩基性にし、陽極側にカップリング剤であるフェニルボロン酸を加えて通電を行わず加熱条件下で反応を行うことにより、オルト位フェニル化生成物が高収率で得られた。 この研究で見出した成果は、電流をオン/オフさせるだけで異なる触媒反応のサイクルをワンポットで進行さることができることを示しており、時間的反応集積化に新しい手法を与えたといえる。
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Research Products
(16 results)