2011 Fiscal Year Annual Research Report
熊野沖陸側斜面における海底斜面崩壊プロセスの解明
Publicly Offered Research
Project Area | New perspective of great subduction-zone earthquakes from the super deep drilling |
Project/Area Number |
22107506
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
金松 敏也 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 技術研究副主幹 (90344283)
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Keywords | 海底地すべり / 熊野沖南海トラフ |
Research Abstract |
本課題では地震発生帯の"海底地すべりプロセス"の理解を深める目的で熊野沖南海トラフ陸側斜面の海底地すべりを研究した.熊野沖南海トラフでは分岐断層付近に海底地すべりの崩落崖が顕著に発達しており海底地すべりの発生が分岐断層の活動となんらかの関係があると推測されるが,その実体は明らかにされていない.IODP Exp.333で掘削された海底地すべり層の輸送過程をさらに詳細に調べるため,「かいこう7000II」による調査,NSSによる白鳳丸の調査を海底地すべり滑落崖が発達する斜面において行った.「かいこう7000II」の調査ではC0018の直上の最も新しいと考えられる馬蹄形をした海底地すべり痕において調査を行った.海底地すべり側方滑落崖は10-20m程度の比高があり,0.26km3の堆積層が崩壊していると考えられる.しかし滑落崖は10m程度の厚い泥に覆われ崩壊は最近起ったものではないと推定される.崖頂部の堆積層の深度5cm以下の勇断強度は地すべり痕内部の堆積層に比べると著しく高く,崩壊とともに表層堆積物が削剥された事が伺え,勇断強度が変化する直上の地層の年代が地すべりの起った年代である可能性が高い.NSSを使った白鳳丸の調査では地すべり層の海底下イメージから地すべり層の供給方向の復元を試みた.C0018で掘削された最上部の地すべり層は,掘削地点で海底下1mにあった.NSSの高解像度サブボトムプロファイラーでそのイメージを追跡し供給源を探った.その結果,地すべり層の削り込みと見られる構造が北北東から南南東にあり,地すべり層MTD1は北北東から供給されたと推定される.この方向は別途「ちきゅう」で採取したコアの構造解析から見積もられた方向と整合的であり,今後このようなアプローチにより海底地すべりの時空間的発達が明らかになる事が期待できる.
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