2010 Fiscal Year Annual Research Report
超高速超強磁場による量子巨大応答と階層機能創出
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Programming - Science of Molecular Superstructures for Chemical Devices |
Project/Area Number |
22108504
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野尻 浩之 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80189399)
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Keywords | 量子ダイナミクス / 強磁場 / 錯体化学 / 巨大応答 / 磁気共鳴 |
Research Abstract |
錯体分子スピン系において量子巨大応答を得るためには、外場によるスピンのコヒーレント制御が必要である。電子と核スピンのエンタングルメントの実証として、ガラスにドープした稀釈スピン系で高速な断熱的磁化反転実現し、核スピンの偏極により電子スピンのトンネル確率が変化することを示し、NMR技術による電子スピンの反転制御に道を開いた。さらに、安定性や制御性に優れた系としてIsingスピンと量子スピンのヘテロ系系統的に研究し、磁気結合の化学的傾向を明らかにした。その結果、量子スピンのエネルギー準位を、外部場を用いず、内部場によりシフトさせ、スピン量子トンネルの確率のパターンをプログラムすることが可能になった。 電子スピンのラビ振動の観測に2つの系で成功した。1つめは、ガラスドープ稀釈スピン系であり、2つめはCu_3スピンリングを陽極酸化したシリコンのナノ細孔に埋め込系である。後者においては、クラスターをSi中に埋め込んでも形状が維持されていることを磁化過程により示し,比較的長い横緩和時間が得られることより、ナノ細孔へのクラスターの埋め込みが有効である事を示した。さらに、強磁場を用いてTbPc系の配向制御する手法を開発した。 1次元Fe-Co錯体における電子移動に伴う誘電応答に関して研究を行い、スピン転移に伴い誘電率と反射率が変化すること、結晶溶媒の脱着によりスピン転移のヒシテリシスループが変化し、それにより誘電率変化も多段になることを見出した。さらにスピン転移温度以下で強電場により試料のブレークダウンが起こり、絶縁体から半導体へ変化することを見出した。
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Research Products
(13 results)