2010 Fiscal Year Annual Research Report
金属酸化物クラスターの配列制御によるエネルギー・化学変換システムの構築
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Programming - Science of Molecular Superstructures for Chemical Devices |
Project/Area Number |
22108507
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内田 さやか 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (10361510)
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Keywords | ナノ材料 / 複合材料・物性 / 自己組織化 / 触媒・化学プロセス |
Research Abstract |
α-Keggin型シリコタングステート、マクロカチオン及びカリウムイオンをメタノール/ジクロロエタン混合溶媒中で複合化させることにより、複合体Iを得た。単結晶X線構造解析により、Iは孔径3.5Åの一次元チャネルを有することが明らかとなった。複合体Iを大気下に放置すると、複合体の構造変化なしに結晶溶媒分子(メタノール)が水分子に置き換わりIaが生成する。複合体Iaに含まれる水分子の一部は、複合体の構造を変化させることなしに室温真空排気により脱離し、Ibが生成する。複合体Ibの蒸気吸着特性を検討した結果、水、メタノール、エタノール、ジクロロメタンは吸着されるものの、より大きな1,2-ジクロロプロパンは吸着されず、形状選択的な吸着特性を示した。次に蒸気吸着特性を検討した結果、二酸化炭素は吸着されるものの、窒素、酸素、及び、メタンは吸着されなかった。二酸化炭素をプローブとしてIbの比表面積、細孔体積を算出したところ、それぞれ、47m^2g^<-1>、9.0mL(STP)g^<-1>(二酸化炭素吸着量:1.8mol/mol)と大きな値を示した。複合体Ibの二酸化炭素の吸着熱は40kJ mol^<-1>であり、物理吸着熱の2倍程度であった。以上の結果から、Ibの二酸化炭素に対する高い親和性は、孔径が二酸化炭素と同程度であり効率良く二酸化炭素を貯蔵できる、高い四重極子モーメントを有する二酸化炭素がイオン性の構成要素と強く相互作用できる、ことに由来すると考えられる。複合体Ibを吸着剤として二酸化炭素/メタン混合ガスの分離を行ったところ、数分で分離が完全に進行し、分離能は水蒸気存在下でも変化しなかった。複合体Ibに吸着された二酸化炭素分子の状態を、モンテカルロ計算、量子化学計算及びin-situ IRスペクトルにより検討した。その結果、Ibの一次元チャネル内で、二酸化炭素分子はカリウムイオンあるいはシリコタングステートの表面酸素の近傍に存在し、強く相互作用することが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)