2010 Fiscal Year Annual Research Report
鎖と環の遷移金属クラスターを用いた単電子機能を目指した超分子組織体の創製
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Programming - Science of Molecular Superstructures for Chemical Devices |
Project/Area Number |
22108521
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
棚瀬 知明 奈良女子大学, 理学部, 教授 (50207156)
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Keywords | 遷移金属 / 量子細線 / 合成化学 / 超分子化学 / 少数電子素子 / 金属クラスター / 多座ボスフィン / 貴金属 |
Research Abstract |
(1)鎖状遷移金属クラスターの合成とそれらを量子ドットとした超分子構造の構築:申請者がこれまでに合成した金属-金属結合で連結したPt_6,Pt_4Pd_2,Pd_8等の骨格を持つ直鎖状低原子価遷移金属クラスターを量子ドット(導電体の島)と考え,その両末端にトンネル障壁となりうる末端配位子(TL)や有機連結基(BL)の導入により1次元単分子素子の開発を行う。本年度は,これら分子モジュールの合成と機能解析、さらに、それらを連結した超分子構造体の構築を分子化学的ボトムアップ手法により試みた。特に,直鎖状Pd八核クラスターの構造と電子状態,吸収スペクトルの温度変化等に関し詳細な分析を行った結果,近赤外領域の特徴的な吸収は金属-金属結合の振動モードと金属鎖のHOMO-LUMO遷移がカップルしたフランク・コンドン許容遷移であり,温度により吸収エネルギーと強度が変化するものと推定される。このような知見を基に,金属鎖に沿ったチャンネルを経由する量子伝導素子としての可能性を検討する予定である。(2)環状遷移金属クラスターの合成とそれらを用いた機能素子の開発:Au_4M_2Cu_2(M=Au,Ag,Cu)環状金属クラスターの合成法を確立するとともに、環内部での分子認識やそれに伴う光物性変化に関して研究を展開した。Au_4M_2Cu_2環状クラスターは直径が約1nmの環状構造を有するが,MがAu(I),Ag(I),Cu(I)の順で環構造がやや縮小する傾向がみられ,また,対イオンのBF_4^-を環内部に取り込む性質があることを見出した。今後は、Cu(I)サイトに結合した塩化物イオンの置換反応を利用して、環状金属クラスターを量子ユニットとした超構造体の合成を試み,分子認識に基づく発光素子の構築を行う予定である。
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Research Products
(3 results)