2010 Fiscal Year Annual Research Report
ビオローゲンナノワイヤーを有する可視光変換デバイスの構築と光機能界面への応用
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Programming - Science of Molecular Superstructures for Chemical Devices |
Project/Area Number |
22108527
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
酒井 健 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (30235105)
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Keywords | 光分子デバイス / 水素エネルギー / 人工光合成 / 多電子貯蔵 / 錯体触媒 |
Research Abstract |
本課題では、電子貯蔵サイトとしてのビオローゲンを多数導入したマルチビオローゲンユニットを合成し、その集積体中における電子マイグレーション効果による電荷移動状態の長寿命化を図ること、レドックス勾配を導入し、逆電子移動を抑制した系を創出すること、ナノワイヤー末端に水素生成用の各種白金(II)錯体触媒を導入し高効率光水素発生デバイスを構築することなどを目的として研究を展開した。本年度の研究では、人工ペプチドを主鎖とするマルチビオローゲン各種の合成と同定を行い、それを単一の光増感サイトであるトリス(ビピリジン)ルテニウム(II)類縁体と共有結合した多電子貯蔵型光増感剤の合成と機能の評価を行った。ビピリジンの5,5'-位にビオローゲンを2つずつ導入した5,5'-Mv4配位子の場合には、[Ru(bpy)_2(5,5'-Mv4)]^<10+>錯体と[Ru(5,5'-Mv4)_3]^<26+>錯体を比較した場合、犠牲還元試薬であるEDTAの共存下において光照射を行うと、前者が光反応不活性であるのに対し、後者は単一分子中に4電子ないし5電子を光化学的に貯蔵できることが確認された。同様の実験を4,4'-位に関して行い、[Ru(bpy)_2(4,4'-Mv4)]^<10+>錯体と[Ru(4,4'-Mv4)_3]^<26+>錯体を合成・単離・同定し、光電子貯蔵能を評価することに成功した。その結果、これら4,4'-MV4を有する錯体においては、両者について、光多電子貯蔵が促進されることを見出した。前者のモノ置換体においては一分子当たり約2電子の貯蔵が起こり、後者トリス体においては約4電子の貯蔵が起こることを確認した。さらに、これらの光多電子貯蔵デバイスと水素生成触媒作用をもつ白金(II)錯体を共存させ、EDTAの存在下、可視光照射を行った結果、光水素生成反応が効率良く進行することを明らかにした。また、分子モデリング計算、電気化学測定、及び電気伝導度測定によっても、数多くの新しく、かつ有益な知見を得ることができた。
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Research Products
(36 results)