2010 Fiscal Year Annual Research Report
蛇紋岩の透水率異方性に関する実験的研究
Publicly Offered Research
Project Area | Geofluids: Nature and dynamics of fluids in subduction zones |
Project/Area Number |
22109508
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
片山 郁夫 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (10448235)
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Keywords | 蛇紋岩 / 透水率 / プレート境界 |
Research Abstract |
蛇紋岩はマントル条件では流動的な性質をもつことから,プレート境界に存在する蛇紋岩には結晶選択配向が形成され、面構造が発達していると推察される。本年度は,この変形した蛇紋岩の透水率の異方性を高圧透水実験により検証した。その結果、著しく剪断変形を被った蛇紋岩では,面構造に平行な方向では垂直な方向に比べ2桁ほど透水率が高い傾向が確認された。このことは,蛇紋岩など面構造が強く発達した岩石では透水率に著しい異方性の効果が存在し、水の移動は浮力のみならず岩石のせん断面(応力場)に強く制約される可能性を示唆している。蛇紋岩化がみられるプレート境界では、沈み込みによるせん断変形のためプレート境界に平行な面構造が発達しているため(そのような面構造の発達は地震波異方性からも推察されている)、脱水反応により放出された水は蛇紋岩の面構造に平行なプレート境界方向に選択的に移動することが予想される。また,そのようにプレート境界面を上昇する水は,島弧モホ面で難透水性であるガブロに突き当たり,水の移動は妨げられる。本年度は蛇紋岩の透水率異方性を測定するのに加え,ガブロの浸透率も測定し,ガブロが蛇紋岩(片理方向に平行)に比べ2桁ほど低い浸透率を示すことが分かった。この場合,モホ面直下において含水プールが形成され,そのような水が岩石の有効圧を下げ深部低周波微動などのゆっくり地震を誘発しているのかもしれない。
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Research Products
(12 results)