2011 Fiscal Year Annual Research Report
沈み込み帯におけるマントルの流動と地球深部流体輸送の統合モデルの構築
Publicly Offered Research
Project Area | Geofluids: Nature and dynamics of fluids in subduction zones |
Project/Area Number |
22109509
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中久喜 伴益 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教 (10263667)
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Keywords | 沈み込み帯 / 水輸送 / 背弧海盆 / マントル対流 / レオロジー |
Research Abstract |
沈み込み帯深部の水の輸送の過程の実態の解明、および、水が沈み込み帯のダイナミクスに与える影響を明らかにするのが本研究の目的である。前者ではスタグナントスラブの形成・崩落に伴う水輸送過程、後者では特に背弧海盆の形成に与える影響を明らかにすることを目標とする。これらの目標のうち、以下のような成果が得られた。 (1)下部マントルに水が輸送される過程の解明 スラブが下部マントへ沈み込む際、水が下部マントルへ輸送される過程を明らかにした。水は660kmで起きる相転移に伴って脱水されるが、同時にマントル対流による下部マントルへの引きずり込みが起きる。これら2つの過程によって、水は660km境界で水平に輸送される。このため、水を含む厚い層がスラブ上部に形成されるため、ほとんどの水が下部マントルへ輸送されることが分かった。 (2)水輸送を計算するための拡散の少ないコードの開発 粒子法に基づいて、物質輸送を計算するコードの開発を行った。海洋プレートの沈み込みに伴い海洋地殻がマントル深部へ輸送される過程をシミュレートする問題に適用した。 (3)スラブの後退と背弧海盆形成のメカニズム 背弧海盆の形成メカニズムの1つと考えられるスラブの後退が起きる力学的メカニズムを明らかにした。これにより、スタグナントスラブの形成との関係やスラブの形状との関係が明らかになった。また、スラブが後退するときに背弧リソスフェアが持つべき、強度および動力学的条件を決定した。背弧リソスフェアの強度の低下が背弧拡大および拡大軸の位置を決めるメカニズムとして重要であることを示した。 成果は著書、論文として発表しつつある。水輸送に関して、1件の著書、背弧海盆の形成ついて1件の査読付き論文が投稿中である。
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Research Products
(1 results)