Research Abstract |
液体が介在するマイクロ空間で非平衡プラズマを形成し,マイクロ・ナノスケールでプラズマと液体界面の相互作用を詳細に調べることで,新現象の発見,新反応場の創生等を目的に研究を行う。具体的には,本研究で開発する「ミクロ・ナノ界面プラズマ」を,旧来の触媒化学の範疇では実現困難とされる「メタンの選択酸化によるメタノールの直接合成」に適用しつつ,得られた知見を反応選択性向上,エネルギー効率改善等に反映させプロセスの高度化を図る。これにより,化石燃料利用体系の高効率化,CO_2排出量低減等を背景としたプラズマの応用展開の可能性についても検討した。 顕微システムを使ってプラズマ反応場を観察した結果,高電界によって液膜が電極に引き寄せられる"EHD効果"を確認した。これがトリガーとなり,数100μmオーダーのマイクロ空間で大気圧プラズマと液膜が相互に影響を及ぼしあっている様子を明らかにした。その結果,局所的にOHラジカルが生成されており,気相におけるメタンの部分酸化反応を促進していることが示唆された。一方,合成されたメタノールが液膜に凝縮することで酸素リッチなプラズマ反応場から効果的に分離されるため,ワンパス収率17~30%でメタノール,ホルムアルデヒド,ギ酸,を生成できた。CH_3OOHや過酸化水素などの副生成物も確認しており,これら全てが有益な生成物としてメタンの直接転換に関与していることを突き止めた。これを実現するためには常温でメタンを酸化させることが必須で,300℃に昇温するだけで生成物収率は著しく低下することを明らかにした。
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